【カグアス(米自治領プエルトリコ)11日(日本時間12日)=為田聡史】地球の裏側から「日本の至宝」に逆提案が届いた。前回大会の13年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝で日本が屈したプエルトリコ代表のエドウィン・ロドリゲス監督(56)が、日本ハム大谷翔平投手(22)の起用法を提言。かつて大リーグのマーリンズでも監督を務め、来年3月も代表チームを指揮する同監督が侍ジャパンについて端的に持論を展開した。
ロドリゲス監督は突然の訪問にも快く握手で迎え入れてくれた。この日は、プエルトリコ・ウインターリーグのオールスターが開催され、同監督は試合前のイベントに登場。ラテン人の陽気さだけではなく、知将の雰囲気も醸し出す。前回大会で日本の3連覇を阻んだ指揮官は、いの一番に「オオタニ」の名を挙げた。
「今、野球界で仕事をしている人で大谷を知らない人間はいない。いい投手なだけでなく、いい打者として有名だよね。打者としてOPSが1を超えている。これは、すごいことだよ!! 投手としては、140イニングで174奪三振というのはすごく印象的な数字。彼のチームへの貢献度は計り知れない」
今季の成績の書かれたメモを手に取ると、あきれたように笑いながら驚きの表情を浮かべた。OPSとは、出塁率と長打率とを足し合わせた値で、打者の得点への貢献度を表す数字としてメジャーでは重要視される。1を超えれば超一流と言われ、今季の大谷は規定打席に61足りなかったものの、1・004だった。同監督は打者としての能力を認めても、起用法は逆だった。
「最初に考えるのは投手としての起用だね。短期決戦のWBCは、投手が最も大事になる。決勝戦まで8試合を戦う。うち、計算できる投手を3試合で投げさせられるのは大きなこと。彼がベストピッチングをすればチームは確実に勝ち上がれる。だから、登板がない試合は打者として起用することなく、しっかりと休ませる。これも短期決戦では大事なこと」
短期決戦の戦い方を明確にした上での起用法には迷いがなかった。さらに、DHを採用していないナ・リーグのマーリンズで指揮した経験もある。「メジャーリーガー大谷」についての持論も展開した。
「ペナントレースでも大谷は投手として起用する。メジャーにおいても高品質の投手を探すのが最も難しい。打者としても、もちろんいい打者だということは分かっている。ただ、メジャーでは、いい打者を獲得することはそんなに難しくない。1年間のシーズンを戦う上でいい投手を獲得することは本当に難しく、価値があることなんだ」
日本ハム球団が、来オフ以降のポスティング制度を利用してのメジャー移籍を容認したことは、世界に打電されている。日本最速の165キロを樹立し、11月の侍ジャパン強化試合ではドームの天井裏に飛び込む衝撃の二塁打を放つなど、規格外の能力も知られるところ。地球の裏側でも大谷への関心度は極めて高い。
◆エドウィン・ロドリゲス 1960年8月14日、プエルトリコ、ポンセ生まれ。80年ヤンキースに入団し、82年9月にメジャーデビュー。内野手としてヤ軍、パドレスで3季プレーするも、通算成績は11試合で打率2割2分7厘、1打点にとどまった。89年から96年までツインズのスカウトを経て、10年途中からマーリンズの監督に就任。大リーグ史上初のプエルトリコ出身監督となった。11年6月に退任。13年の第3回WBCで母国代表チームを率いて準優勝に導いた。右投げ右打ち。