最速1000Kダルビッシュ、理想形は三振そこそこ

ドジャース対ロッキーズ 4回表ロッキーズ無死一塁、ゴンザレスを空振り三振に仕留め、メジャー通算1000奪三振をマークするドジャース・ダルビッシュ(撮影・菅敏)

<ドジャース4-5ロッキーズ>◇8日(日本時間9日)◇ドジャースタジアム

 ドジャースのダルビッシュ有投手(31)が、先発投手としてはメジャー最速で通算1000奪三振を達成した。ロッキーズ戦の4回表、3番ゴンザレスを空振り三振に仕留め、この日6個目の三振をマーク。通算128試合、812回で大台に到達した。フォーム修正中でもあり、5回途中5失点で、今季12敗目(8勝)を喫した一方で、快記録で球史に名前を刻んだ。

 外野の電光スクリーンに「1000奪三振」と表示されても、ダルビッシュには感慨に浸る余裕はなかった。4回表、第1打席に先制ソロを浴びた3番ゴンザレスを空振り三振に仕留めて、大台に到達した。それでも、マウンド上のダルビッシュはニコリともしなかった。「そういう状態じゃないので。ほんと、どうでもいいわ、って、自分の中で思ってました」。チームは連敗中で、しかも自らはフォーム修正中。5回表には、拙守、不運な安打も重なり、4失点で逆転負けを喫した。個人記録に目を向ける空気ではなかった。

 もっとも、「メジャー最速」が快記録であることに変わりはない。ノーラン・ライアン、ランディ・ジョンソンら歴代の奪三振王(500回以上)を抜き去り、今現在も過去最高の奪三振率「11・07」をキープする。「自分の場合、ある程度できあがった状態で(メジャーに)来てますから。一番速いことよりも、1000三振取れるまでプレーしてたのが、まあ、誇れるかな」。

 かつては、闘争心をむき出しにして、三振を狙った時期もあった。だが、15年に右肘の手術を経験したこともあり、277奪三振でタイトルを獲得した13年当時ほど、三振に執着はない。ただ、三振を取れば、不運な安打や野手の失策とも無縁になる。「手っ取り早いし、確実なアウト。同時に球数も増えてしまう。そこそこ取りつつ、球数も抑えつつ、がベストですね」。内野ゴロや犠飛も許されない状況などで「そこそこ」三振を奪い、それ以外は極力省エネで球数を抑えて長い回を投げることへ、ダルビッシュの理想は形を変えた。

 快記録を遂げたといえ、12敗目の事実も無視できない。真価が問われるポストシーズンまで時間的猶予も限られてきた。「これも僕の人生の一部、うまくいってない時期の一部。ただ、諦めたり、前に進むことをしないことだけはしない、と決めてます」。もがき苦しみながらも、ダルビッシュがうつむくことはない。【四竈衛】

 ◆最速1000奪三振 ダルビッシュの128試合での達成は、カブスなどで活躍したウッドより6試合も早い最速記録。そもそも150試合未満で成し遂げた投手がクレメンスやグッデン、野茂ら8人しかおらず、あのランディ・ジョンソンですら152試合かかっているだけに、意味のある数字だ。またダルビッシュの奪三振率(9回あたりの三振数)11・07は、通算750イニング以上投げている投手の中ではメジャー歴代1位(2位はジョンソンの10・61)。