ダルビッシュ突破 試合前、監督にした大胆勝利宣言

力投するダルビッシュ(撮影・菅敏)

 ドジャースが3連勝でナ・リーグ地区シリーズを突破し、2年連続でリーグ優勝決定戦進出を決めた。先発ダルビッシュ有投手(31)が、5回0/3、2安打1失点7奪三振と力投し、ポストシーズン初勝利を挙げた。8回裏には前田健太投手(29)が1回無安打無失点と完全救援。2人そろって勝利に貢献した。なお、ワールドシリーズ進出をかけたリーグ優勝決定戦は、14日(同15日)からド軍の本拠地ドジャースタジアムで「カブス-ナショナルズ」の勝者との間で行われる。

 王手をかけた一戦だからこそ、ダルビッシュは強気で攻めの姿勢を貫いた。優位は動かなくとも、敵地で落とせば、短期決戦の流れは変わりかねない。試合前には、ロバーツ監督に大胆な勝利宣言をしていた。

 「アリゾナに明日はないです。彼らは今日が終わったらオフシーズンになるし、明日、僕たちはホームに帰るから」

 同意する同監督への約束通り、初回から飛ばした。1回裏1死からバント安打を許したものの、その後は13打者連続凡退。4回裏は、最速98マイル(約158キロ)の速球を主体に3者連続三振に仕留め、敵地ファンを沈黙させた。「息の根を止めるというくらいの気持ちで行こうと思いました。今日で終わらせることに集中してました」。5回裏、ソロ本塁打を浴び、さらに6回裏、先頭打者に頭部死球を与えたところで交代を告げられた。74球と余力十分だったが、ダルビッシュ自身「自分が監督でも、今日はブルペン(救援陣)全員を継ぎ込んで、何としても勝ちにいく」と納得ずくの降板だった。

 公式戦最終登板となった9月25日以来、中13日のマウンド。その間、実戦形式の投球を行ったものの、調整は簡単ではなかった。7月末、「優勝請負人」としてトレード移籍してきた重圧もあった。ただ、心身のバランスは絶妙だった。「自分で入れ込む場面を作らないようにしました。常に冷静に、1球ずつ集中して投げました」。体は熱く、頭は冷静に、PS初勝利を手にした。

 まずは、最初の関門を突破した。だが、ダルビッシュは淡々と言った。「地区シリーズを勝ち抜いたことにそこまで喜びは感じてなくて…。みんながシャンパンファイトで喜んでましたが、そういうのを見て自分が喜ぶタイプ。まだあと8勝しないといけないですから」。ダルビッシュにとって、世界一は夢や目標ではなく、使命なのかもしれない。【四竈衛】

 ▼ダルビッシュがポストシーズン(PS)通算3試合目で初勝利。日本人投手のPS勝利は前日8日の田中(ヤンキース)に次いで8人目(11勝目)。先発では07、08年松坂(レッドソックス)08年黒田(ドジャース)前記田中に次いで4人目(7勝目)。今年のPSでは前田(ドジャース)も勝っているが、同一シーズンで3人の日本人投手が勝つのは初めて。