マー君PS2勝伝説級7回無失点、ダルとの対決前進

アストロズ戦の5回のピンチに、レディック(奥左)を空振り三振に仕留め、雄たけびを上げるヤンキース田中(AP=共同)

 ワールドシリーズまであと1勝だ! ヤンキース田中将大投手(28)がアストロズとのア・リーグ優勝決定シリーズ第5戦に先発。7回3安打無失点、8奪三振1四球と相手打線に付け入る隙を与えず、第1戦で投げ負けていた左腕カイケルに見事リベンジを果たした。チームは2連敗後の3連勝で、09年以来8年ぶりのWシリーズへ王手をかけた。

 田中がほえた。5回表1死一、二塁のピンチにギアを上げた。1番スプリンガーをカウント1-2から、この日最速の95マイル(約153キロ)外角低め直球で見逃し三振に。続くレディックにはカウント1-2から外角低めへ逃げるように落ちる89マイル(約143キロ)スプリット。空振り三振に仕留めると、センター方向へ体を回転させながら、こん身の雄たけびを上げた。

 7回103球で3安打無失点8奪三振。「球威で押せてた部分もあったと思いますし、それが変化球が生きた要因の1つでもあると思います」と分析。自身の快投に「率直に自分を褒めてあげたい」。レギュラーシーズン、ポストシーズン(PS)合わせ、過去6試合で0勝4敗、防御率7・62と苦手にしていたアストロズ、そして第1戦で投げ負けていたカイケルにリベンジした。

 今PS3試合で2度目の7回無失点。同一PSで2度、7回以上無失点を記録したのはヤ軍では殿堂入り名投手のホワイティー・フォード(60年)とロジャー・クレメンス(00年)に次ぐ快挙。ジラルディ監督も「(田中は)シーズン終盤とポストシーズンで、投球のレベルを引き上げた」と目を細めた。

 Wシリーズへ王手をかけた。田中は「3勝なんでね。あと1勝必要ですから」と慎重だが、このままいけば「100%世界一になる」というデータもある。今PSは開幕から本拠地6連勝。過去ホームで最初の4試合に勝利した78年、99年、09年はいずれも世界一になっている。Wシリーズではダルビッシュ、前田のドジャースと対戦する可能性が高い。田中、ダルビッシュともに好調で第1~3戦のいずれかで2人が投げ合う可能性もある。全米が熱狂する今PS。その中心に田中がいる。【水次祥子】

 ▼田中が7回無失点でポストシーズン(PS)2勝目。日本人投手が1シーズンでPS2勝は、07年松坂(レッドソックス)08年黒田(ドジャース)今年の前田、ダルビッシュ(同)に続き5人目。またリーグ優勝決定シリーズに先発して無失点だった日本人投手は、08年第1戦の松坂(レッドソックス=7回0/3無失点)に次いで9年ぶり2人目。