大谷 けん制死「ドンピシャのが来た」

レンジャーズ対エンゼルス 2回、先制適時打を放つ大谷(撮影・清水貴仁)

 【アーリントン(米テキサス州)11日(日本時間12日)=斎藤庸裕】チャレンジ初体験からの、けん制タッチアウト~。エンゼルス大谷翔平投手(23)が、レンジャーズ戦に8番指名打者(DH)で出場。8回、四球を選んで出塁すると、日本ハム時代の同僚クリス・マーティン(31)から執拗(しつよう)なけん制を受けた。1度はチャレンジでアウトの判定がセーフに覆ったが、その後に再び素早いけん制をされ、タッチアウト。元同僚との対決は「走者」として完敗した。打撃は2回2死一、二塁、左腕から初安打となる先制左前適時打を放って、チームの4連勝とア・リーグ西地区の単独首位浮上に貢献した。

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 してやられた! 悔しさをにじませ、大谷は一塁ベース上にたたずんだ。8回無死、四球を選ぶとマウンドは3番手ディークマンから、昨年まで日本ハムの同僚、マーティンに代わった。いつも通り、限界までリードをとる。1死となった後「日本ハム時代には見たことがなかったのでビックリした。ドンピシャのが来た」と驚くほどの素早いけん制を受けた。メジャー初、日本ハムでも経験のないけん制死を食らった。

 直前にもヒヤリとしたが、チャレンジが成功していた。カウント1ボールから3度目のけん制に頭から滑り込んだが、判定はアウト。大谷は「セーフだと分かっていた」と確信していた通り、ベンチがビデオ判定を要求して覆った。辛くもセーフになった後も「次の塁を積極的に狙いにいく」と、リードの大きさで萎縮しない。それにマーティンが“リベンジ”した。「普通は少し(リードが)狭くなる。でも大きかった。『おいおいちょっと待て、何をしているんだ』ってね」とマーティン。ファウルを挟んで4度目が来ると逆を突かれ、今度こそアウトになった。

 試合前、マーティンは大谷との対戦を「すごく楽しみ。負けたくないね」と心待ちにしていた。3月18日のオープン戦でも対決の機会はなく、キャンプ中には食事にいく約束もキャンセルされるなど、なぜかタイミングが合わないことが多かった。ついに実現した直接対決。「投手対走者」という形だったが、マーティンに軍配が上がった。

 大谷の「初」は続く。レギュラーシーズンで初めて左腕から安打を放った。2回2死一、二塁、左腕ムーアの内角寄りの直球を左前に運び、先制の適時打。21歳右腕ジェイミー・バリアのメジャー初登板初勝利(5回1失点)をアシストした。大谷は「初登板だったのは理解していましたし、しっかり最初に先制点をとれたのは良かった」と振り返った。前日はメジャー初代打、この日は初チャレンジ、初けん制死に首位浮上。失敗も含め、経験値は日々高まっていく。

 ◆エンゼルス・ソーシア監督(けん制死した大谷について)「戻るのが少し遅れた。マーティンと日本で一緒にプレーしていたようだけど、彼の素早い動きを忘れていたのかな」