<阪神5-2DeNA>◇14日◇甲子園
絶対打ってやる! 横田慎太郎外野手(20)が6回1死二、三塁、左腕今永から左前に追撃のタイムリーを放った。4番福留の負傷交代で巡ってきた出番にスタメン落ちが続く悔しさをぶつけた。外野のライバル高山、江越が目の前でヒットを連ね「2人に負けたくない!」と意地の一打でもあった。
目の前でライバルたちが快音を響かせていた。俺を見ろ…。高山と江越のクリーンヒットを見届けた横田の血はたぎっていた。燃えに燃えたのは6回だ。1点を勝ち越して1死二、三塁になった。苦戦していた左腕今永の速球に照準を合わせる。外角球を振り抜くとライナーで左前へ。2点差に広げる適時打を放った。
「最近はスタメンで出ていなかったので『絶対に打ってやろう』と思っていました。高山さんも江越さんもヒットを打って回ってきた打席だったので2人に負けたくない気持ちでした」
同じ外野の江越が絶好調のため出番を失っていた。開幕からスタメンを張り続けたが、7日巨人戦(東京ドーム)を最後に5試合続けてベンチスタート。悔しさを白球にぶつけた。プロ3年目の甲子園初安打&初タイムリー。チームの窮地を救う働きだろう。4回に不動の4番福留が左足を痛めて交代。緊急事態に代走で起用され、そのまま守備へ。絶好機を迎え、金本監督も横田の勢いを信じた。
「ホント、大きかった。左投手で迷ったけど、若い力で行こうと。あえて左打者の横田を出したんですけど、ホント、よく打ってくれました。気持ちで打つ選手だから。集中してね」
スタメンを譲っても、キバを研ぐ。甲子園に戻り、試合前練習では本来の「魅力」を取り戻そうとしていた。金本監督に助言され、軸足に体重を乗せて大きく鋭く振る打撃を心掛ける。横田も「遠くに飛ばすということです」と明かす。先発時は結果を求め、練習でも小さく当てるだけになっていたが、動きは再び伸びやかになっていた。この日の打球にも強さは表れた。
心の支えにしている言葉がある。2月の沖縄キャンプ終盤、金本監督は実戦で結果を出し続ける横田に声を掛けた。「何で打てているか、分かるか?」。首をかしげながら「分かりません」と返事する若者に、指揮官は言う。「『絶対に打ってやる』という気持ちが伝わってくる。その気持ちを忘れずにやってくれ」。重荷は消えた。無心になれた。この日も、ただ迫りくる球にぶつかっていった。
金本監督に心を試され、見事に応えた。福留が手負いのピンチだが、横田がいる。薄れつつあった存在感を、筋金入りの闘争心で取り戻した。【酒井俊作】