巨人立岡、地震「大丈夫な訳ない」けど何とか3安打

巨人対広島 2回裏巨人無死、立岡は左前打を放つ。投手黒田(撮影・浅見桂子)

<巨人6-5広島>◇16日◇東京ドーム

 被災した故郷を勇気づける3安打だ。熊本出身の巨人立岡宗一郎外野手(25)が、4打数3安打1得点で勝利に貢献した。熊本地震の動揺を押し殺し、2日に完封負けを喫した広島黒田からも安打を放ってチャンスメークするなど、自分の仕事を全うした。チームは黒田から6得点し、リベンジに成功。乱打戦を制し、単独首位に浮上した。

 心なしか、いつもより足取りが重かった。立岡は3安打を放ち、チームは黒田を攻略。だが、ロッカー室から無表情で通路に姿を見せると、力なく帰路につく足を止めた。「3安打よりもチームが勝って良かったという思いの方が強いです」と淡々と答えたが、熊本地震の話題に語気を強めた。「大丈夫かって? 大丈夫なわけないでしょう」。

 熊本・芦北町出身。14日の地震発生後、実家の家族や地元の友人に連絡し、状況を聞いた。「うちは大丈夫みたいですけど、ちょっと景色が変わったみたいです」。「87センチのスズキ」を釣り上げるほどの腕前を誇る趣味の釣りを始めたのは、小学生の時。川、公園…思い出の詰まった故郷の風景が一変した。それでも15日の練習後には「向こうは野球どころじゃないと思うけど、自分が少しでも頑張っていい結果を出せたら」と奮い立たせた。

 16日未明に、再び強い地震。今回は実家の物が散乱したという。心は乱れたが「僕は野球しかできない」と、黒田撃ちに集中した。対策はあった。ミーティングでは「強引にいかず、センター方向に」と全体で確認。球を動かす黒田を仕留めるため、具体的な策もあった。内田打撃コーチは「ゴロを打たされないよう、軸足に体重をしっかり残して逆方向に」と示した。

 シンプルながら実行は難しい任務を、立岡は平常心でやってのけた。2回の第2打席、黒田の2球目の変化球を引きつけ、内側からバットを出してしばきあげた。「甘めに来たら飛びついていくぐらいの気持ち。早めに仕掛けた」と左前に運び、ギャレットの二塁打で二塁から生還した。投手が代わっても、センターから逆方向に2安打。「常に全力だけど、今日は何とかという思いがあった。もう1回、火が付いた。今こそ自分もしっかりやらなきゃという思いが強い」。1番打者として、3日以来の3安打で役割を果たした。

 各打者も意識を共有し、難敵を倒して首位に立った。高橋監督は「それぞれが対策をした結果。(立岡は)普段通りの打撃をしてくれたと思います」と誇らしげに話した。【浜本卓也】

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