<日刊スポーツ:2003年5月10日付>
プレーバック日刊スポーツ! 過去の5月10日付紙面を振り返ります。2003年の1面(東京版)は阪神浜中、片岡、アリアスの3連発でした。
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あの伝説の記憶がよみがえった。浜中が、片岡が、アリアスが、3人続けてアーチをかけた。3者連続本塁打! 阪神の3連発は85年4月17日巨人戦以来。そうだ。バース、掛布、岡田によるバックスクリーン3連発以来の快挙だ。85年はリーグ制覇、日本一まで突っ走った。バックスクリーン3連発は猛虎打線の象徴として語り継がれてきた。18年の歳月を経て、歴史的シーンを再現。首位を走る“平成の強虎”が新伝説を築き上げた。
「85年以来? あのバックスクリーンの3連発ですか? 当時は見ていなかったけど、ビデオなんかは何度も見ましたよ」
浜中が歴史の幕を開いた。3回の先頭打者。1?2から高めのボール球を力強く叩いた。9号ホームランがバックスクリーン左に飛び込んだ。4月22日以来14試合、58打席ぶりの一発。
「開き直りです。打ち損じるのも、追い込まれて三振するのも一緒。そう考えて迷いなくいきました」。
相手は高校時代に和歌山県下でしのぎを削った吉見。ライバルの存在が、不振の浜中に強振を思い出させた。吉見から今季3本目となる復調アーチが、猛虎史に記される一発となった。
その浜中は「ボクよりも片岡さんやアリアスの方が大変だったと思いますよ。プレッシャーがかかったんじゃないですか」と話した。だが、5番片岡の集中した神経に、煩悩が入り込む隙間はなかった。「打席に入る気持ちはいつも一緒。集中することだけを心がけている」。昨年の屈辱的大不振から巻き返す片岡は、無心にボールを打ち返した。2?2からの5球目を流し打ち。4号弾が左翼席に吸い込まれた。
「2者連続でも難しいのにね」。6番アリアスは奇跡的な可能性を感じ取って打席に向かった。2球目のスライダーをすくった。3連発のトドメは文句なしの特大アーチ。7号本塁打を左翼スタンド最上段まで運んだ。4月13日以来26日ぶりの一発が、新たな伝説を完結させた。
歴史は2度繰り返す。3連発が18年ぶりという史実が85年の優勝を想起させる。アリアスは「3連発した年に優勝したの? 今年、チームとして感じるモノはあるよ」と気分の昂揚を隠さなかった。だが、星野監督は戒めた。「85年、85年と言っているからダメなんだ。忘れなさい」。過去との関連を否定した。そして、こう続けた。
「新しいタイガースに変わったんだ。新生タイガース。初優勝と思っていかなあかん」。
優勝という言葉が口をついた。85年にも劣らない破壊力。星野監督は5カ月後に実現させる夢のシナリオを描き始めた。