緒方広島 足攻めで藤浪壊し阪神の自力V消した

阪神に快勝しタッチを交わす広島の選手たち(撮影・清水貴仁)

<阪神2-8広島>◇8日◇甲子園

 走って崩した。広島緒方孝市監督(47)の指揮が光った。重盗を含む3盗塁を決め、阪神藤浪を攻略。1回2死一、三塁で売り出し中の鈴木誠也外野手(21)が二盗を決め、阪神の守備の乱れもあって三塁走者エクトル・ルナ内野手(36)が生還した。3回には丸佳浩外野手(27)が藤浪のモーションを盗む三盗。「神ってる」広島が走ってる!

 試合後のベンチ裏。バスへと続く通路で、緒方監督は「重盗はまあ、どうでもいいわ」と言った。1回の場面だ。鈴木の先制2点適時打を「今日は誠也でしょう」とほめた後。3点目を奪った重盗について質問が飛んだが、すぐに自ら話題を変え、ダメ押し打を放った岩本をほめた。輝いた選手をたたえ、タクトでの得点は多くを語らない。今季の指揮官を象徴する一幕だった。

 サイン通りの攻撃だった。鈴木の適時打で2点をとった後の、1回2死一、三塁。一塁には鈴木、三塁にはルナ、打席には安部。カウント1-2からの4球目だった。鈴木がスタート。阪神の捕手岡崎が二塁へモーションをとるとすぐ、ルナはホームへ走りだした。阪神の連係ミスもあって1点が入った。藤浪にダメージを与える得点だった。

 「足で崩していきましょう」。試合前、三塁コーチの河田外野守備走塁コーチと話していた。ベンチの首脳陣は試合中ずっとストップウオッチを握りしめる。河田コーチはマツダスタジアムでは試合開始の8時間以上前からスコアラー室にこもり、数時間にわたってビデオを見ている。足で崩す-。意思はスムーズに伝わった。

 4点リードの3回には失策で出塁した丸がルナの二ゴロで進塁。今度は1死二塁からモーションを盗んだ。藤浪が動きだす前にスタート。三塁に滑る必要もなかった。好機をつくって松山が犠飛。河田コーチは「無安打での1点は大きかった。ああいう攻撃がね」と指揮官の思いを代弁した。

 その後も揺さぶって、藤浪は暴投にボークと荒れた。動揺は明らかだった。何より、今後も対戦する藤浪に走力の意識を植え付けられたことが大きい。「また1戦、1戦」と緒方監督。広島は油断も隙もまったくみせない。【池本泰尚】