阪神原口代打同点打「0の扉」開く 24回ぶり得点

ヤクルト対阪神 8回表阪神1死一、二塁、代打で中前に同点適時打を放つ原口

<ヤクルト1-3阪神>◇12日◇長野

 やまない雨はない。8回。24イニングぶりの得点を呼んだのは、原口文仁捕手(24)の執念適時打だった。1死一、二塁で江越への代打に送られ、粘った9球目を中前にクリーンヒット。金本監督もうなる快打でゼロの呪縛を解くと、なおも1死満塁からはゴメスの二ゴロが併殺崩れとなり勝ち越し。9日広島戦で西岡、鳥谷、江越と凡退して無得点に終わった「満塁の悪夢」ともおさらばした。

 重苦しい長野の夜、反撃へのドアを開けたのは原口だ。阪神ファンも、ベンチも同様に感じ続けていた重圧を振り払った。1点が遠かった8回1死一、二塁のチャンス。そこまでも「あと1本」の場面で凡退に倒れ、無得点に終わっていた阪神打線。チャンスなのに不安も湧き起こる。そこを3番スタメンの江越への代打に出た原口が打ち払った。

 ヤクルト2番手の平井がフルカウントから投げた9球目。カウント3-1から4球ファウルで粘っていた外角低めの真っすぐをたたいた。打球は快音を残して中前で弾む。流れを一気に引き寄せる同点打だ。

 「あそこは真っすぐを狙っていた。もう真っすぐしかないと思っていた。ここまで割り切れずに悔しい思いをしていたので。それは生かせたと思います」

 屈辱の本拠地3連敗を喫した8日からの広島3連戦で、原口は7打数無安打。迷いながら球を待ち、結果を残すことができなかったという。そこを反省、切り替えた。思い切りが呼んだ5試合ぶりの一撃だった。

 3安打猛打賞と活躍した高山とともに、球宴に初出場する。試合前には監督推薦で選んでもらったヤクルト真中監督にあいさつ。「激励されましたけど。何を話したかはあまり覚えていない」。そう苦笑したが、きっちり恩返しのヒットとなった。

 原口の放った同点打を鉄人・金本監督も絶賛した。選手としての実績はこれ以上ないはずの指揮官が、自分より上だ、と言わんばかりにほめ上げた。

 「ああやって、粘って粘って打てるのはさすがだね。オレだったら粘って四球だった。あそこで打てるのが彼の素晴らしいところ。チャンスであと1本出ない、重い扉をこじ開けてくれた」

 育成から支配下選手登録され、即スタメン。今季、もっとも話題になった男は最下位脱出、反撃の旗手を担う。【編集委員・高原寿夫】