日本ハム陽30打席ぶり適時打「すごい長かった」

6回裏2死一、三塁、2点適時二塁打を放ちガッツポーズの陽岱鋼(撮影・井上学)

<日本ハム6-3ソフトバンク>◇7月31日◇札幌ドーム

 日本ハム陽岱鋼外野手(29)が復活ののろしを上げた。7月31日ソフトバンク戦(札幌ドーム)、4試合連続無安打で打順が4年ぶりに7番以降に下がった陽岱鋼が、26打席ぶりの安打で貴重な追加点をたたき出した。首位ソフトバンクに3ゲーム差。奇跡のV奪還へ、頼れる男が長いトンネルから抜けよみがえった。

 悲壮な覚悟に、確かな決断がシンクロした。勝ち越した直後の6回2死一、三塁。陽岱鋼が、心の中で祈った。初球。外角144キロのカットボールに、食らいつく。「抜けてくれ」。祈りは通じた。右翼フェンス直撃の2点二塁打。26打席目での待望の安打に、興奮が込み上げてきた。二塁ベース上で拳を突き上げ、天を仰ぐ。両腕で顔を埋めた。「トンネルが、すごい長かった」。三塁側ベンチでは栗山監督が頭上で手をたたき、喜びを分かち合う瞳は、うるんでいた。

 不振打破への、強攻策が実った。試合前、指揮官に直訴した。「(打順を)下げてもらった」。7番以降に座るのは、12年4月19日西武戦以来となった。本来はリードオフマンや中軸の立場。プライドを捨て、不調からの脱出を図った。「監督がこういう作戦にしたので、与えられた仕事をしたい」。決意は固まった。30打席ぶりの適時打は、価値ある追加点。栗山監督は「本当にいろいろ考えてやったつもり。何とか仕事したのが意味がある」と言葉を詰まらせ、また目を赤くさせた。

 思いに応えるため、験にもしがみついた。2打席無安打で迎えた5回裏。ロッカールームで宮西に駆け寄った。「そろそろ出していいんじゃないですか」。一昨年、不振を極めていたとき、交流戦で使用する宮西の打撃手袋で本塁打を放っていた。「流れを変えたい」と、この日も頭を下げて装着。勝負どころで頼りになった。指揮官は確信する。「ダイカンの状態とともに、チームも上がってきた」。逆転Vに欠かせない力が、よみがえった。【田中彩友美】