阪神坂本1点差死守「リベンジができて良かった」

9回裏、新井を打ち取って試合終了となりベンチへ向かってガッツポーズする坂本

<広島1-2阪神>◇10日◇マツダスタジアム

 何度も、何度も阪神坂本の体がベース上を踊る。低めへ、低めへ-。コーナーにしっかり-。体全体を使ったジェスチャーを投手陣に繰り返す。懸命のリード。屈辱にまみれた初マスクから約3週間。自身2度目の先発マスクで、強力広島打線相手の1失点勝利に貢献した。

 「前回のリベンジができて良かった。(9回を抑えて)自信にもなりますし、しっかり経験していきたい」

 プロ初出場をスタメンで飾った7月19日巨人戦(甲子園)。パートナーはこの日と同じ能見だった。だが、胸を高ぶらせて臨んだ一戦は苦い記憶に塗り固められた。左腕が打ち込まれ、3回途中6失点KO。坂本も同時に交代の屈辱となった。

 「完全にやっちゃいましたね…。終わったと思いました。やる気が空回りしたというか、やっぱりプロは甘くないですね」

 どうしたら良かったのかばかりを考え、寮に戻ってもなかなか寝付くことができなかった。そこから今まで以上に、練習や試合で矢野作戦兼バッテリーコーチやベテランの鶴岡に積極的に話を聞くようになった。「あいつの聞く姿勢というのは素晴らしいよね」と矢野コーチ。苦い経験が新人を成長させた。

 この日の初回1死一、三塁。サインが合わずプレートを外した能見がボークを取られ先制点を献上した。流れる不穏な空気。それでも、坂本は何度もマウンドに足を運びコンタクトを取った。ベンチに戻ればノートにペンを走らせメモをつけた。中盤以降はリズムに乗り7回途中1失点。9回の絶体絶命のピンチも強気のリードで乗りきった。

 金本監督も収穫を強調した。「前回は能見で失敗して、あえて承知でやったんだけど、彼の自信になったと思う」。原口が台頭する阪神捕手陣。そこに新たな頭脳が加わった。【梶本長之】