西武森が左肘骨折、開幕絶望 5日キューバ戦で死球

5日、キューバ戦で左ひじに死球を受ける西武森

 西武森友哉捕手(21)が、開幕絶望の大けがを負っていることが6日、発覚した。5日のキューバ戦で左ひじに死球を受けて途中交代も「大丈夫」と語っていたが、一夜明けて患部の腫れが悪化。大阪市内の病院で検査を受けると、左肘頭(ちゅうとう)骨の骨折が明らかになった。全治や復帰時期は、帰京しチームドクターの診察を受けて判断されるが、当面は左腕を可能な限り動かさないことが求められる。正捕手へ勝負の1年と位置付けていたが、早期復帰は難しいとみられる。

 午前8時。森はチームバスで京セラドーム大阪に入った。しかし、周囲がWBC中国代表戦へ準備を始めるのを横目に、すぐ会場を離れた。左ひじの腫れが一夜明けて悪化した。病院での検査の結果は最悪。左ひじの骨が折れていた。

 勝負の1年と思っていた。昨季後半から、捕手での出場機会が増えたことも踏まえ「今年は捕手一本」と宣言した。1月下旬に右肩甲骨付近を痛め、キャンプは2軍スタートを余儀なくされたが、2月末にようやく1軍に合流した。対外試合で本塁打を連発し、好リードもみせていた。

 そんなさなかの不運。球団幹部からは「しばらく日常生活も不便だろうから、選手寮に戻ってはどうか」と気遣われた。つまりそれほど復帰に時間を要するということ。病院から戻り、報告のため監督室にのぞかせた顔には、ありありと落胆ぶりが出ていたという。

 辻監督は「残念だろう。オレだって残念」と心中をおもんばかった。現役時代、開幕直前の3月31日に骨折し、復帰に4カ月かかった経験も伝え、懸命に励ました。「野球のこと、リードのことを考える機会にしてほしい。後々、あの時間があったから成長できたと思えるようになれば」。

 一方で指揮官は、早期復帰のために指名打者などで起用する方針はないと断言した。「長い目で見たら、捕手で勝負しないと」。打てる捕手の不在は、球界全体の問題でもある。日本のために森を育てなければという思いは強い。

 森は報告を終えると、6日のうちに帰京した。近日中にチームドクターの診察を受け、全治や復帰時期を見定める。【塩畑大輔】

 ◆肘頭骨(ちゅうとうこつ) ひじ関節の後方にある、ひじの頂点にあたる部分の骨。上腕と前腕をつなぎ、扇の要のように腕の曲げ伸ばしを可能にする。ここが折れると、周囲の筋腱(けん)に引っ張られて、思うようにひじが動かなくなり、腫れも悪化する。症状が軽い場合は手術を行わない治療も可能だが、その場合はギプスで1カ月程度ひじを固定し、その後曲げ伸ばしのリハビリ期間も要する。

 ◆西武森のアクシデント プロ1年目の14年開幕直前に球団内でインフルエンザが大流行。2軍にいた森も感染し、強制隔離を強いられた。15年8月20日楽天戦では初回の打席で自打球が右膝を直撃し退場。検査結果は打撲も翌日のロッテ戦を欠場した。捕手専念を掲げた今季は自主トレ中に右肩甲骨の内側に張りを感じ、1軍キャンプから2軍キャンプへ変更。