巨人内海で開幕5連勝 腫瘍手術から4カ月復活1歩

7回2死二、三塁、梶谷を右飛に仕留め、ガッツポーズで雄たけびを上げる内海(撮影・たえ見朱実)

<DeNA2-4巨人>◇5日◇横浜

 復活の第1歩を踏み出した。巨人内海哲也投手(34)が今季初先発で初勝利を挙げた。7回を6安打1失点。打撃でも5回1死三塁で勝ち越しの中前適時打を放った。昨年12月、右胸骨の内側にできた腫瘍を摘出する手術を受けた。ケガもあってここ3年間は1ケタ勝利だったベテランが病気も克服し、3年ぶりにつかんだ開幕ローテーション。チームを19年ぶりの開幕5戦全勝、12球団唯一の開幕5連勝に導いた。

 全身から喜びがあふれ出た。7回2死二、三塁。DeNA梶谷に初球スライダーを捉えられた。「行かれた」。同点3ランを覚悟したが、打球は失速し右翼長野のグラブに収まった。跳びはねるように三塁側ベンチに戻りながら、左手でガッツポーズ。素直に感情のままに振る舞った。

 同点の5回には、井納のフォークを「球に合わせるだけでいいかな」となりふり構わずバットに当てた。5年ぶりの適時打で決勝点をもぎ取った。投打で開幕5連勝に貢献。「5回は勝ちの権利が懸かってガチガチに緊張しました。本当に良かったです」。ベテランでも初々しく喜びをかみしめた。

 一からでなく、ゼロからの再出発だ。昨季終了後、人間ドックで右胸骨の内側に腫瘍が見つかった。12月中旬、耳慣れない言葉を医師から聞き「終わった」と漏らした。後日、深刻な状況でなく、手術をしても3月下旬の開幕には間に合うと伝えられた。「最初は正直『もうだめだ』と思ったんです。あらためて説明を受けて、いける、やるしかないと思えました」。同26日に都内で手術を受けた。

 3日後に退院。病院を出て外の空気を大きく吸い込むと、迎えに来た聡子夫人らに言った。「練習するで」。予想外の第一声で驚かせた。内海は本気だった。急きょ手配したグラウンドに直行。患部に近い右腕は固定したまま、白球を握りしめ、軽く投げた。「いける」。もう1度、野球道を全身全霊でまい進すると腹が決まった。

 キャンプではカットボール習得に挑戦し、投球の幅を広げた。この試合では直球と変化球のコンビネーションで奪った21個のアウト中、12個がゴロアウト。高橋監督からも「何とか粘ってくれた。力も経験もあるので7回を乗り越えてほしかった」と最敬礼された。

 ベテランだからと優遇されることなく、病にも競争にも勝って結果を出した。「この勢いで勝ちを重ねて優勝できるよう頑張りたい。この1勝を自信に変え(ローテーションの)1枠を渡さず1年投げきりたい」。内海の野球人生第2章が幕を開けた。【浜本卓也】

<内海手術から開幕まで>

12・26 手術 テニスボール大を摘出「痛い」

   29 退院 病院から練習に直行

 1・ 5 自主トレ 沖縄で21日まで

 2・ 1 キャンプ カット習得励む

 3・ 4 オープン戦 4試合登板

 4・ 5 初登板 開幕ローテつかむ