史上初ソフトバンク甲斐が育成出身満弾 プロ7年目

2回裏ソフトバンク2死満塁、甲斐は満塁本塁打を放ちナインとハイタッチ(撮影・梅根麻紀)

<ソフトバンク14-4西武>◇2日◇ヤフオクドーム

 ソフトバンク甲斐拓也捕手(24)がプロ第1号となるグランドスラムを放ち、チームを3位へと導いた。2回2死満塁から左翼ホームランテラス席への逆転満塁弾。育成ドラフト出身選手が満塁本塁打を放ったのは史上初。プロ7年目で初めて先発マスクをかぶるなど、ホークスの次世代の正捕手候補として期待を背負う男の1発が打線に火をつけ、チームも今季最多17安打の大爆発で、貯金を今季最多タイの3に増やした。

 体をのけぞらせながら、短く持ったバットを思い切り振り抜いた。プロ7年目の甲斐がプロ第1号の満塁弾。昨年までプロ通算1安打だった男のひと振りで、試合をひっくり返した。

 「必死にいきました。初回に本塁打を打たれたのは僕の責任でもあるので、何とか千賀を助けたかった。バットで取り返せて良かったです」

 達川ヘッドコーチの教えで今年から打席ではホームベースすれすれに立つ。「四死球でも何でもいい。出塁して上位打線につなげば、点も入って投手も楽になる。相手も僕みたいな打者に塁に出られるのはもったいないと思うだろうし、ベースに寄られると嫌だから」。そんな、体を張った必死な姿勢が実を結んだ。甲斐は3回にも中前打を放ち、川崎の打席で二盗を決め、プロ初盗塁も記録。初ものずくめの1日となった。

 昨年オフ、ベテラン捕手細川が戦力外で退団。登録名を拓也から甲斐に戻した24歳は、高谷、鶴岡に続く3人目の捕手枠を目指し、春季キャンプから同期のドラフト1位斐紹らとポジションを争ってきた。10年育成ドラフト6位でホークスに入団。キャッチャーミットには「人はヒト」の文字を刻む。「人のことは気にせず、自分のことをしっかりやれば、いつか必ず報われる時が来る」。キャンプでは、常に万全のコンディションで練習に臨めるよう、時間を逆算して毎朝6時半に朝食会場に一番乗りした。地道な努力を野球の神様は見捨てなかった。

 シーズン開幕後もとにかくがむしゃらだった。自宅に帰ってもテレビをつける暇もない。対戦相手のデータを頭に入れることにとにかく必死だった。「毎日疲れますけど、心地いい疲労ですよ」。これでスタメンマスクをかぶった試合は7勝3敗。千賀、石川、飯田と同じ育成出身の3投手をリードし、千賀の4勝目をアシストした。

 自身初のお立ち台に上がると、球場を見渡し「最高ですね」と声を弾ませた。チームを17安打14得点のお祭り騒ぎに導く、チーム最小兵の大きな殊勲打だった。【福岡吉央】

 ▼甲斐が2回にプロ初アーチとなる満塁本塁打。外国人選手を除き、プロ初本塁打が満塁弾は15年8月25日の上林(ソフトバンク)以来58人目(パ=19人目、セ=23人、1リーグ=16人)。ソフトバンクでは41年松本光三郎、81年吉田博之、91年安田秀之、97年井口忠仁(現ロッテ井口資仁)、前記上林に次いで6人目。また甲斐は育成ドラフト出身だが、育成ドラフト出身選手の満塁弾は初めてとなった。