巨人小林「打つより確率高い」Vセーフティーバント

中日対巨人 8回表巨人1死一、三塁、小林の捕前へのバントは犠打野選となる(撮影・松本俊)

<中日2-3巨人>◇5日◇ナゴヤドーム

 巨人が粘り強く、泥臭い攻撃で逆転勝ちを決めた。同点に追いついた8回1死一、三塁で、打者小林。カウント1-2からセーフティースクイズを敢行した。一塁方向への打球は、中日の捕手杉山が捕球できる距離までしか転がらなかった。だが、三塁走者の長野は「強い投ゴロ以外は大西さん(三塁コーチ)に行けと言われていました」と勝負に出た。本塁に駆けだし、ダイビングタッチの杉山とクロスプレーに。1度は球審がアウトのコールをしたが、ボールがミットからこぼれ落ちて決勝点をもぎとった(記録は犠打野選)。

 2ストライクからのスクイズに、高橋監督は「理由はいろいろあるでしょう。作戦としてうちも他もやりますしね」と胸の内は伏せた。三塁走者が走塁センスにたける長野、打率1割5分1厘の小林の状態、次打者に村田、脇谷ら豊富な代打陣を投入できる状況など、総合的な判断から選択した勝負手。期待に応えた小林は「打つより確率が高いと思うので。決まって良かった」と必死のプレーを振り返った。

 伏線として、我慢強いボディーブローが効いた。15年6月20日を最後に6戦連続で未勝利のバルデスに6回まで毎回安打。5回までは2死からの出塁で3者凡退を防ぎ、波に乗せなかった。8回途中までに122球を投げさせ、1死一、二塁で降板させた。右投手の三ツ間を引きずり出し、代打の切り札亀井を迷わず投入できる状況を演出。天敵を引きずり降ろしたことで、一気に逆転ムードを作り出した。しぶとい攻撃での白星に、指揮官は「2死からでも少しずつダメージを与えられた結果かなと思う」とうなずいた。【浜本卓也】

 ▼巨人は8回に小林のスクイズで勝ち越し。巨人のスクイズ成功は4月2日中日戦の大竹寛に次いで今季2度目となり、小林がスクイズを決めたのは16年9月27日中日戦に次いで2度目だ。巨人でスクイズが勝利打点となったのは06年9月9日ヤクルト戦以来、11年ぶり。06年は1-1の8回、二岡が勝ち越しのスクイズを決めて勝っている。