広島大瀬良、7回1失点もまた勝てず 試練は続く

広島対DeNA 9回に同点にされ、残念そうに指先を見つめる先発の大瀬良(撮影・梅根麻紀)

<広島4-5DeNA>◇17日◇マツダスタジアム

 前を向け。広島大瀬良大地投手(25)が7回3安打無四球1失点と好投した。一時は味方の逆転で勝ち投手の権利を得るも、9回に同点に追い付かれたことで自身2勝目は泡と消え、チームも延長戦で敗れた。開幕から登板7試合。いまだに勝ち星は1勝と、先発の柱と期待される右腕にとって、試練のときは続く。それでもこの日の投球には、次につながる光があった。

 手にしかけた白星が土壇場ですり抜けながらも、大瀬良は懸命に前を向いた。7回を投げ、3安打無四球1失点。代打を出された7回裏の攻撃で味方打線が逆転してくれた。登板7試合目であと1歩のところまで来た2勝目は、9回表に守備の乱れから同点に追い付かれて消えた。

 「やりたいことが試合の中でもできて、感覚良く投げられた」

 前を向く投球だった自負がある。上体の力で投げていた形からバランスだけを意識。歩幅を半足分縮めた。カットボールやスライダーなどの変化球を投げる瞬間の力みも消えた。立ち上がりからストライク先行。変化球を増やし、DeNA打線に的を絞らせなかった。5回まで許した走者は安打と失策の2人のみだ。

 だが、唯一の失投が先制点につながった。0-0の6回。先頭の投手ウィーランドに真っすぐを左中間スタンドにライナーで運ばれた。「あの1球だけだったが、その後も切り替えて投げられた」。7回まで77球の省エネ投球を披露した。

 この日の登板前まで6試合で1勝。好投が白星に結びつかないなど、めぐり合わせが悪い試合が続く。前回10日ヤクルト戦は5回6失点。試合を作れず、通常登板2日後に与えられる休養日を返上。「技術的な練習をしたかった。強い球を投げておきたかった」。ポール間走、投球間の力を入れたキャッチボールで感覚を確かめた。

 右脇腹違和感から実戦復帰して約3週間でシーズンを迎えた影響も少なからずある。だが「もう不安なく、自分の球が投げられたと思う」と大きな手ごたえを得た登板となった。緒方監督も「前回、前々回の投球内容からガラリと変わって、力を抜いてリリースのところで力を伝えられていた。いい投球をしてくれた」と復調の兆しを感じた。首位阪神を追走するためには、大瀬良の完全復活は欠かせない。【前原淳】