巨人長野お待たせ初適時打!阿部の助言が復活後押し

7回表、2点適時三塁打を放った巨人長野は、ベンチ前でマギーとハイタッチ(撮影・たえ見朱実)

<DeNA3-5巨人>◇19日◇横浜

 巨人長野久義外野手(32)に、ようやく待望のタイムリーヒットが飛び出した。7回2死一、二塁、0-0同点から均衡を破る2点適時三塁打をマーク。試合前まで得点圏では21打数無安打で、2回の1死一、二塁でも遊ゴロ併殺に倒れており、実に今季28打席、23打数目にして初の適時打だった。負ければ今季初の借金の危機だったチームは、延長10回にケーシー・マギー内野手(34)の決勝打で競り勝った。

 長い眠りから目を覚ました。得点圏に走者を置き、長野が打席に入る。今季28度目の光景だった。7回2死一、二塁。DeNA井納と対峙(たいじ)する。左足で打席の土を後ろに蹴り上げる。カウント1-2からの4球目。外角低めに沈む132キロフォークに食らいついた。低弾道の打球は右翼手梶谷のわずか前で弾み捕球にもたつく間に三塁を陥れた。「打てて良かったです」と一言だけ。のどから手が出るほどほしかった今季初の2点適時打をもぎとった。

 無表情を貫く日々も、どん底まで追い込まれていた。睡眠中は悪夢にうなされた。「寝てるときに野球の夢をみるんです。チャンスで打席が回ってきて…。はっと目が覚める」。得点圏が恐怖にも感じた。野球人生で経験したことがない長期スランプにもがき苦しんだ。プロ入りから百戦錬磨で突き進んできたバットマンが暗闇に迷い込んだ。

 苦しいときに頼れるのは過去の自分だと悟った。前々カード広島3連戦でロッカーで席がとなりになった阿部から言われた。「命を取られるわけじゃない。思い切ってやればいいよ」。先輩からの一言でハッと気付かされた。打席では一貫してベースから離れて立ってきたが、不振の間はベース寄りに立ってみたりもした。試合前は人目を避けてバットを振り込んだ。試行錯誤の繰り返しも結果には結びつかない。行き着いた答えは「思い切り振っていきます」。醸し出す雰囲気に躍動感が戻った。

 主力として一打でチームを動かした。28イニングぶりの得点をスコアボードに刻んだ。負ければ今季初の借金生活が突きつけられる一戦。生え抜きらしく、土壇場で踏ん張った。高橋監督も「本来ならもっと打ってくれないと困る選手。ずっとこの1本をきっかけにしてほしいと思い続けている。そうなってくれれば」と話した。目を見開いた長野が、ひのき舞台で大いに暴れる。【為田聡史】