巨人13連敗OB西本氏喝 全員役目果たしていない

西武対巨人 3回裏西武1死満塁、外崎に満塁本塁打を浴び、天を仰ぐ池田(撮影・たえ見朱実)

<日本生命セ・パ交流戦:西武13-2巨人>◇8日◇メットライフドーム

 球団史を塗り替える連敗ワースト記録を喫した翌日、無残な大敗が待っていた。巨人が球団ワーストを更新する13連敗を喫した。「日本生命セ・パ交流戦」の西武3回戦(メットライフドーム)も投打で圧倒された。先発のドラフト4位ルーキー池田駿投手(24)は、3回に外崎に満塁本塁打を浴びるなど、2回1/3、7失点でKOされた。救援陣も打ち込まれ13失点。巨人OBで日刊スポーツ評論家の西本聖氏(60)が、余裕のないあまり、何もできないまま敗れるチームに「喝!」を注入した。

 連敗が続くチームにありがちな大敗だった。何をやってもうまくいかないというより、何もしないままの敗戦というしかない。チームを助けるために、自分たち1人1人ができることは必ずある。ベンチにいる全員が、その役目を果たしていない。

 巨人のOBとして、手を差し伸べたくてもできないイライラ感が募った。試合が決まってしまった3回裏だった。1死一塁から秋山を迎えた初球だった。先発の池田が投球モーションに入ると、一塁走者の源田がスタートを切った。左投手は一塁走者がよく見える。焦って投げた球はワンバウンドのボール。ここから、すべての歯車が狂っていった。

 走者を気にするあまり、3球目がすっぽ抜けて秋山には死球。一、二塁となった2球目には、ダブルスチールを決められた。すでに余裕がないルーキー。三盗が狙いやすい左腕。走者の2人は、いずれも俊足。これだけダブルスチールを狙いやすい条件がそろっていながら、けん制球は1度もなし。ベンチにいる監督やコーチも、内野にいた野手も、誰一人としてけん制を入れるような指示が出せないようでは、勝てる試合も勝てない。

 その後の展開も、目を覆いたくなった。1死二、三塁からは、まだ3回なのに内野が前進守備。結果的には打者の浅村に四球で満塁となり、中間守備に戻ったが「1点もやれない」という焦りだけは、池田に残った。ボテボテの一ゴロでベースカバーが遅れたのは、一塁手の阿部がホームに投げると思ったのだろう。余裕のなさが焦りに変わり、タイムリー内野安打にしてしまった。

 ショックを引きずった池田は、メヒアにもタイムリー内野安打。ここで限界だと思ったが、続投して満塁ホーマー。ただでさえ周りがフォローしてやらなければいけないルーキーで、大型連敗中のマウンドに上がっているというのに見殺し。この惨状が今の巨人を表している。

 私もコーチを務めていたロッテ時代に9連敗を経験した。ベンチも選手もバラバラで、収拾がつかないぐらい雰囲気が悪かったのを覚えている。普通に戦えば、このような大型連敗にはならない。巨人史上初の13連敗。選手の入れ替えや配置転換だけでなく、コーチ陣の配置転換など、考えなければいけないだろう。(日刊スポーツ評論家)

 ◆西本聖(にしもと・たかし)1956年(昭31)6月27日、愛媛県生まれ。松山商から74年ドラフト外で巨人入団。鋭いシュートを武器に81年18勝を挙げ沢村賞獲得。89年、中日に移籍し20勝を挙げセ・リーグ最多勝。93年オリックス移籍、94年に巨人移籍し同年通算165勝で引退。投手コーチとして03年阪神でセ・リーグV、10年ロッテでは日本一に貢献した。