則本世界タイK記録 信長ゆかり滋賀から天下布武へ

楽天対DeNA 9回表2死、則本は佐野から三振を奪って、雄たけびを上げガッツポーズ(撮影・松本俊)

<日本生命セ・パ交流戦:楽天8-2DeNA>◇8日◇Koboパーク宮城

 世界よ、これが「NORIMOTO」だ。楽天則本昂大投手(26)がDeNA3回戦(Koboパーク宮城)で8戦連続2桁奪三振の大リーグタイ記録に並んだ。メジャーでは、99年のペドロ・マルティネス(レッドソックス)ら2人しか達成していない。9回12個の三振を奪い、7安打2失点と完投。自身7連勝で8勝目をマークし、チームの連敗を3で止めた。

 ガタン、ゴトン。約10年前、則本は揺られていた。滋賀・八幡商へ向かう通学電車の中だ。ふと車窓を見つめた。目的地が近づくと、小学校の社会科見学で訪れた安土城跡が見えてくる。「信長、好きですね。もともと愛知の人だけど、滋賀に安土城を造って。新しい制度やモノを作ることは、自分にないもの」と戦国大名・織田信長が天下布武を果たした場所を眺めた。群雄割拠の戦国時代を勝ち抜いた男を、幼き頃から心の片隅に感じ続けてきた。

 時は現代、17年6月8日、奥羽・宮城に移る。則本は戦場にいた。前夜から降っていた雨は、試合開始直前にやんだ。澄み切った夕刻の空、ファンが陣取る左翼後方には虹のアーチがかかった。真っさらなマウンドにしゃがみ、足元にあるロジンバッグを2度、3度たたいた。「頑張って勝てるように」と決戦へ向けて空につぶやいた。

 狙う首は敵の大将・筒香。8回1死二塁、あと1つ奪えば10三振の場面で、4度目の対戦となった。観客の悲鳴が響き、空には満月が顔をのぞかせた。「異様な雰囲気でしたね」。カウント1-2からの4球目、嶋の外角直球に首を振った。「相手も迷う」。次のサインにうなずき、息を2度吐いた。「3打席とも変化球を打たれていた。直球で行こうとしていた中、内角に投げきれたことが大きい」と日本一の打者の胸元へ149キロ直球。筒香が天を仰ぐほどギリギリのコースで、8戦連続2桁奪三振を記録した。

 侍ジャパン同士の戦いに負けるわけにはいかなかった。第2打席では初球から2球続けて自己最速タイの157キロをマークするなど、容赦なく刀を振りかざした。「日本の4番を打つ素晴らしい打者。何とか取りたかった」と一刀両断。9回にも2個の三振を積み上げ、12奪三振に2失点完投と完璧にDeNAを撃破した。

 自身7連勝でハーラートップ8勝目を飾り、チームの連敗を3で止めた。昨春キャンプでは小栗旬出演のドラマ「信長協奏曲(コンツェルト)」のDVDセットを購入し、松井裕らとホテルの部屋で鑑賞する日々を送るほど信長の血が自身にたぎっていた。滋賀から日本、さらに世界へ-。天下無双状態の「NORIMOTO」が、歴史に名を刻んだ。【栗田尚樹】

 ▼則本が4月19日西武戦から8試合連続2桁奪三振。前回更新したプロ野球記録をさらに伸ばした。8試合連続2桁奪三振は99年ペドロ・マルティネス(レッドソックス)と、クリス・セール(現レッドソックス)がホワイトソックス時代の15年と今季の2度マークした大リーグ記録に並んだ。大リーグの2人は8試合の期間中、敗戦投手を挟んでいるが、則本は7勝0敗。4月26日ロッテ戦から7戦7勝だが、すべて2桁奪三振の7戦7勝は近代野球とされる1900年以降、大リーグでも達成されていない快挙だ。シーズン8度の2桁奪三振は14、16年の7度を上回る自己最多。