巨人亀井涙のサヨナラ弾、敬遠敬遠敬遠に怒り爆発

巨人対ロッテ ヒーローインタビューで男泣きする巨人亀井(撮影・中島郁夫)

<日本生命セ・パ交流戦:巨人7-5ロッテ>◇18日◇東京ドーム

 亀が男になった、そして号泣した-。巨人亀井善行外野手(34)が今季1号となるサヨナラ3ランで、敗れれば球団史上初の交流戦最下位の窮地を救った。1点差に迫った延長12回、目前の4番マギーが3打席連続敬遠。この日、ことごとくチャンスをつぶした亀井が意地の一振りで決めた。開幕戦以来のカード3連勝、高橋監督に就任通算100勝目をプレゼントした。

 涙で目の前がぼやけた。打球の行方も分からない。ただ亀井は手に残る感触から、サヨナラ逆転3ランになったことは分かった。人生で初めて、泣きじゃくりながらベースを一周した。本塁上でもみくちゃにされた先には、笑顔の高橋監督が。泣きながら胸に飛び込んだ。「よくやったな」の声に涙腺が完全に決壊した。「もう覚えていないんですけど、本当にね。心が折れていたので…。奇跡としか言いようがないです」と目を真っ赤にした。

 屈辱的な光景を3度も見せられた。チャンスで前打者のマギーが3打席連続で敬遠。途中出場し、8回は1死二、三塁で捕邪飛。延長10回2死二、三塁では空振り三振に打ち取られた。2度目の凡退後は、ベンチに戻って道具を投げつけた。それほど悔しさと自分への怒りが募った。

 だが、天才打者といわれた高橋監督の現役時代さながらの冷静さも持ち合わせていた。かつては自主トレを一緒にするなど常に行動を共にし、多くを学んだ。「壁に当たろうが、いつも全力。70~80%じゃだめ。かっこいいだけじゃないんですよ」。どんな状況でも自分の力を発揮することだけに集中する重要性を教わった。だからこそ、最後はマン振りすることなく、大嶺祐のフォークを拾い上げてバットに乗せられた。

 お立ち台では「最後打てなかったら命を取られると思って…それぐらいの気持ちで行きました」と絞り出した。「チャンスをつぶしていたので負けたら全部僕の責任と思っていた。神様がいてくれた」と笑った。

 高橋監督は「チームを救ってくれた。やっぱり力のある選手」と最敬礼した。就任2年目での通算100勝。普段は数字に多くの関心を示さないが「劇的な勝ち方。思い出に残る」と記憶に刻まれた。球団ワーストの13連敗もあった交流戦だが、最後は3連勝で球団初の最下位も免れた。「後半からいい形で打線も守りもできている。この形を続けていきたい」。劇的勝利で生まれた流れを、本物にしたい。【浜本卓也】

 ▼亀井が延長12回に逆転サヨナラ本塁打。亀井のサヨナラ本塁打は通算6本目となり、そのうち5本は延長戦で記録。巨人でサヨナラ本塁打の多い選手を出すと、(1)王8本(2)長嶋、阿部7本(4)二岡、亀井6本。亀井は二岡に並ぶチーム4位タイに進出し、延長戦でサヨナラ本塁打5本は長嶋、松井の4本を抜いて球団史上最多となった。