広島野村、内容不満も粘投で逆転勝利 貯金最多19

DeNA対広島 6回を3失点に抑える広島先発の野村(撮影・松本俊)

<DeNA3-4広島>◇27日◇横浜

 粘り勝ちだ。広島野村祐輔投手(28)が6回まで6安打2四球と苦しみながら、3失点にまとめた。立ち上がりから本調子とはほど遠い投球。失点を重ねながらも、粘りの投球で逆転勝利を呼び込んだ。5月16日DeNA戦(尾道)以来、約1カ月半ぶりの勝利で4勝目。チームは交流戦明け3連勝で貯金を今季最多19とし、2位阪神とのゲーム差も今季最大の6ゲームに広げた。

 ベンチで勝利の瞬間を見届けた野村は、約1カ月半ぶりの4勝目に胸をなで下ろした。6回3失点も、投球内容には不満が残った。2失点は2死から。3失点目は先頭打者への被弾だった。前回対戦時には少なかったチェンジアップを増やすなど工夫したが、最後まで立て直せないままマウンドを降りた。白星が転がりこんではきたが、大黒柱と期待される右腕に最後まで笑顔はなかった。

 「こんな投球だったので申し訳ない。なかなかチームを勢いづかせる投球ができていない。勝ち試合にしてくれた野手とリリーフ陣に感謝です」

 1回2死からDeNAロペスに内角球を左翼席にライナーで運ばれ、先制点を許した。打線に勝ち越してもらった直後の3回は2死三塁から足元への打球を捕れず、二塁への同点適時内野安打とした。「走者の出し方も悪かった。自分で取れる打球も取れなかった。チームにリズムをつくれず申し訳ない」。6回は先頭筒香に投じた外角チェンジアップをうまく打ち返され、センターバックスクリーンへの勝ち越し弾となった。

 本調子ではなくても6回を3失点にまとめる技術は、昨季投手2冠右腕の成長の証し。本調子ならばボール1球分のボールゾーンを含め9分割、12分割に投げ分ける意識でいる。だが、調子が悪いときはコース、または高さを3分割にして投球を窮屈にさせない。ピンチのときもコースに決めることを狙うのではなく、「強い球を投げる」ことを意識する。その日の状態に応じて投球を変えられる適応力と割り切りが、逆転勝利の舞台を作った粘りとなった。

 野村の粘投で広島は交流戦明け3連勝。貯金19は今季最多、2位阪神とのゲーム差6も今季最大だ。「チームが勝てたことが良かった」と勝利に安堵(あんど)の大黒柱は、次こそ自身の投球でチームに白星をもたらす。【前原淳】