楽天、東北全6県制覇 底力で今季最多の貯金22

楽天対オリックス 松井裕(右)とタッチして勝利を喜ぶ楽天細川(撮影・野上伸悟)

<楽天3-2オリックス>◇28日◇はるか夢球場

 楽天が初開催の青森の地で強さを見せた。オリックスを3-2で下し、1分けを挟んで3連勝。貯金を今季最多の22に伸ばした。青森での1軍公式戦は88年の広島-ヤクルト戦以来29年ぶり。球団は創設13年目にして初めて、主催試合を東北6県すべてで行った。記念すべき日に青森出身の細川亨捕手(37)が辛島航投手(26)ら4投手を好リードするなど、接戦をものにした。

 松井裕が9回を3者凡退で締めると、弘前の夜空に歓声が響き渡った。4投手を1人でリードしたベテラン細川は感慨深げに言った。「勝ち試合を見せられて本当に良かった。今日はそれですね」。青森県開催は1軍公式戦では29年ぶり。思い入れは人一倍だった。

 東津軽郡平内町出身で、青森北高から青森大へ進んだ生粋の津軽人。プロ野球は身近なものではなかった。「小さいころ、プロの試合を見たいと思ってました。本物のプロを見ることで、青森の子どもたちも大きな夢を描けるんじゃないかな」。ソフトバンクから移籍初年。正捕手・嶋が左足甲打撲も重なり、今季初スタメン、移籍後初安打を愛する故郷で迎えた。

 「東北楽天ゴールデンイーグルス」。東北を冠する球団にとっても、6県制覇は念願だった。立花球団社長は「青森のパワー、青森の方の思いが募った。6県でやらせていただく意義もある。今日来て、ファンの顔を見てると待ち望んでいてくれた」とうなずいた。今後も東北6県での開催をベースにする方針も示した。

 投げては「ミスター地方球場」が要所を締めた。先発辛島は今季、秋田、山形に続いて東北の地方球場先発は3試合目。のらり、くらりと緩急をつけ、7安打されながら6回を最少失点で6勝目。「細川さんが、相手が待ってない球を選択してくれた。リードが最高だった」と女房を立てた。

 ペゲーロの17号先制ソロ、島内の勝ち越し2ランと2つのアーチをかけて3連勝。7回には細川が移籍後初安打をマークし、梨田監督は「地元に錦を飾った。これで本当にイーグルスの一員になった」とたたえた。これで今季最多の貯金22。変わらず首位を走る。

 細川が高1夏の青森大会でプレーした思い出の球場。当時土だったグラウンドは、美しい人工芝に改修され「はるか夢球場」の愛称が付けられた。選手と、球団と、ファン。みちのくの夢が1つかなった1日だった。【鎌田良美】

 ▼楽天が43勝目を挙げ、貯金を今季最多の22に増やした。このオリックス2連戦は△○。今季の楽天は2連戦が8度あるが、結果は2勝4度、1勝1分け1度、1勝1敗3度。2連戦で貯金9をつくり、昨年7度もあった2連戦2連敗がまだない。日本一になった13年の最多貯金は27だが、43勝目は74試合目で、貯金22に到達は9月8日の120試合目。今年はまだ65試合目で、13年を上回るペースで白星と貯金を記録している。

 ◆青森開催 プロ野球が青森県内で行われたのは88年7月17日広島-ヤクルト戦(青森県営)以来29年ぶり。88年はヤクルトの池山、杉浦が本塁打を放ち、4-1(降雨のため5回コールド)で勝った。弘前市運動公園では84年8月11日の日本ハム6-1南海以来33年ぶり。この試合では日本ハムの坂巻が完投し、チームの連敗を14で止めた。青森県では50~88年まで計48試合を開催(青森県営21、青森市営6、弘前市営6、弘前市運動公園3、八戸10、三沢2)。50年6月28日には藤本英雄(巨人)が、青森市営での西日本戦でプロ野球初の完全試合を達成している。楽天は創設13年目で東北6県すべてでの開催を実現した。