広島エルドレッド3発、昨年より13戦速く貯金20

2回裏広島1死、エルドレッドは左越えに先制ソロ本塁打を放ちベンチ前でナインの出迎えを受ける(撮影・栗木一考)

<広島8-1中日>◇1日◇マツダスタジアム

 3連発で貯金20!! 広島ブラッド・エルドレッド内野手(36)が先制、中押し、ダメ押しと来日初の3打席連続弾で8-1と中日に連勝した。来日6年目で円熟味を増す大砲のキングに並ぶ3発で、貯金は今季最多の20。優勝した昨季よりも13試合早い大台到達で、早くも独走状態に入った。

 お立ち台では通訳に仕事をさせなかった。壇上のエルドレッドは、インタビュアーの質問に通訳を介さず、すべて日本語で答えた。来日6年目。日本の言葉、文化を受け入れ、そして何より日本野球を受け入れた。2回は内寄りの直球を先制弾、3回はチェンジアップをたたいて中押し2ラン。5回は低めの球をすくい上げてダメ押しソロ。すべて左翼席を越える特大アーチで、主役を張った。「1打席1打席しっかり集中して結果を残すことができた。打てる球を見極めてアプローチできたことがいい結果につながった」と充実感に浸った。

 31歳で来日し、今月12日には37歳を迎える。米国で粗削りだった大砲は、日本で変貌を遂げた。「若ければ何かしてやろうと無理にやってしまうことがありますが、私は年齢を重ねてきた。そういった意味で成熟し、自分をコントロールしてアプローチできている」。今季は先発での無安打試合は最長3試合と安定。来日初の3打席連発で、本塁打数も21本とし、リーグトップの中日ゲレーロに並んだ。

 異国での成功の裏には、父ジムさんの言葉がある。「いつも同じ気持ちでやることが大事。イライラして、行動が乱れてはいけない」。少年時代、三振しても怒られなかったが全力疾走を怠ったときには叱られた。この日もエルドレッドのユニホームは泥だらけだった。

 日本愛だけでなく、広島愛にもあふれる。この日、本塁打を打ったバティスタには打席前に助言を送り、4番鈴木とも日ごろから打撃論を交わす。若い選手が多い広島打線の中で「センパイ」と胸を張る大砲の働きで、73試合目で貯金を今季最多20とした。独走優勝の昨季よりも13試合早い大台到達にも、緒方監督は「1つ1つの戦いの結果だから。貯金がいくつとか意識しないでやっていきたい」と引き締めた。【前原淳】

 ▼エルドレッドが自身初の3打席連続本塁打。広島選手の1試合3打席連続本塁打は6月16日丸がソフトバンク戦で記録して以来6人、7度目。同一球団でシーズンに2人が3打席連発は、04年に横浜の内川が5月18日巨人戦、多村が7月17日広島戦でマークして以来9度目で、広島では初。広島は90年5月10日アレンから3打席連発の選手が出た試合に5連敗中で、3打席連発が白星につながったのは65年5月11日興津以来、52年ぶり。

 ▼広島は貯金を今季最多の20に増やした。優勝した昨年の貯金20到達は86試合目で、今年の73試合目は80年64試合目、96年68試合目、87年70試合目、84年71試合目に次いで球団史上5番目のスピード。