広島丸100&101号 11年3月の1本忘れない

お立ち台で仲間からの氷水の攻撃をうまく避ける丸(撮影・栗木一考)

<広島6-5巨人>◇6日◇マツダスタジアム

 広島丸佳浩外野手(28)が、通算100号&101号で巨人の連勝を止めた。まずは1点を追う3回に同点15号ソロで、通算284人目となる大台に到達した。さらに同点の7回には決勝弾となる16号ソロを放った。丸の野球人生を変えた1発から、6年半で大台に乗せた。チームも連敗を止め貯金を再び20に乗せた。

 丸はバットを素直に出した。1点を追う3回1死。巨人畠が投じた低めの直球をとらえると、スピンのかかった打球はグングン伸びてバックスクリーン左まで届いた。同点の15号ソロで通算100号の大台に乗せ「コンパクトに力負けしないでいけました」と冷静に振り返った。

 101号はうれしい決勝弾になった。同点に追いつかれた直後の7回に迎えた第4打席。巨人西村の外角シュートを今度は左翼スタンドに運んだ。丸がもっとも価値を見いだす決勝弾。しかも連敗を止める1発になった。通算99号を放ったその日から「目指してやっているわけじゃない」と関心を示さなかった男も「コースなりに打てた。2本目のような勝敗に関わる本塁打をどんどん打っていきたい」。あの日から6年半。チームリーダーの自覚がにじむ。

 無人のスタンドに突き刺さった軌道を、丸ははっきりと覚えている。11年3月24日の阪神との練習試合(マツダスタジアム)は震災の影響で無観客試合だった。4年目の丸は8回に代打で出場し、藤川の直球を右翼スタンドへ運んだ。通算記録には入らぬ1本だが、丸は「あれで首の皮一枚つながった。あれがあるから今の自分がある」と何度もうなずく。

 オープン戦は出場6試合で9打席しか立てなかった。安打はこの1本だけ。ラストチャンスと覚悟した無我夢中の打席で結果を出した。開幕1軍をつかみ取り、4月19日横浜戦で正真正銘のプロ初アーチを放った。1軍で打つ喜びを味わった。それは試合に出続ける喜びに変わり、今は勝利に勝る喜びはないと感じる。不動の3番は最後、表情を引き締め「継続してやっていければ」と言った。歩んで来た道のりを振り返るのをやめ、ただ未来だけを見つめた。【池本泰尚】

 ▼丸が3回に通算100本塁打となる同点の15号、7回に勝ち越しの16号。丸のマルチ本塁打は通算6度目だが、肩書付きの殊勲アーチ2本は初めて。これで今季の勝利打点はリーグトップの10度目となった。今季の丸はマツダスタジアムに強く、同球場では37試合で打率3割5分7厘、12本塁打、34打点。マツダスタジアムのシーズン本塁打数3傑を出すと、<1>14年エルドレッド20本<2>16年鈴木15本<3>17年丸12本で、シーズンに12本以上は3人目だ。また、通算では50本目となり、マツダスタジアムで通算50本以上はエルドレッド60本に次いで2人目。

 ▼通算100本塁打=丸(広島) 6日の巨人14回戦(マツダスタジアム)の3回、畠から今季15号を放って達成。プロ野球284人目。初本塁打は11年4月19日の横浜1回戦(横浜)で大家から。