巨人内海5回1失点2勝「悔しさぶつけるマウンド」

阪神対巨人 5回裏を無失点に抑えサムアップをする巨人内海(撮影・横山健太)

<阪神1-8巨人>◇8日◇甲子園

 「いとおしい」ウイニングボールを手中に収めた。巨人内海哲也投手(35)が阪神12回戦(甲子園)に先発。5回3安打1失点と粘りの投球で4月5日のDeNA戦以来、約3カ月ぶりの2勝目(5敗)を挙げた。4度の登録抹消からはい上がり、背水の気持ちで臨んだマウンド。チームに2カード連続の勝ち越しをもたらした根底には、野球への底なしの愛があった。

 聖地のマウンドで感情をぶつけた。内海が無我夢中に汗を飛び散らした。1回、無死一、二塁のピンチ。超満員の甲子園のど真ん中で自らを奮い立たせた。「これでダメなら1軍はない」。低めを徹底的に意識し、相手打線のクリーンアップに立ち向かい内野ゴロの間の1失点だけで切り抜けた。格好悪くてもいい。4回1死一、二塁も無失点でしのぎきり勝ち投手の権利を得てマウンドを譲った。「めちゃくちゃうれしいです!」と4月5日以来の2勝目を大事に抱えた。

 2軍調整中は口を固く閉ざした。6月15日以来の1軍登板が決まってからも「何も言うことはないです。悔しさをぶつけるだけ。この気持ちは自分以外の誰にも分からないと思うし、分かってほしくもない。全ては自分が招いたことなので」。傷ついたプライドを回復するには、1軍のマウンドで結果を示すしかない。だから、一切の妥協も許さなかった。

 35歳のベテラン左腕の心中は当たり前のように「野球」が大半を支配している。京都田辺ボーイズに所属した中学時代は110キロ台の直球でエースにはほど遠かった。マウンドも遠く、出場しても左翼手。野球の神様と“両思い”がかなわなかった過去もあった。でもそれ以上に野球と真剣に向き合い、惜しみない愛情を注いできた。敦賀気比高時代にもたどり着けなかった甲子園のマウンド。「プロになっても聖地には変わらない」と、真骨頂の粘りを発揮し、ひた向きに77球を投げ込んだ。

 苦労してもぎ取った1勝の真価は、この先の結果にかかっている。「チームに何度も迷惑をかけた。後半戦で1試合でも多く貢献したい」。2軍生活中は休養日の月曜日も、自宅近くの公園で108個の縫い目に指をかけた。どん底まで突き落とされそうになっても不変の事実がある。やっぱり、野球が好きだ。いや、内海は野球に、ありったけの愛を注ぐ。【松本岳志】

 ▼内海が14年以来2度目となる自己最長の5連敗から脱出した。これで阪神戦は通算25勝目。巨人投手の阪神戦25勝は大友工、藤田元司、西本聖に並ぶ歴代10位となった。