楽天の「サブちゃん」福山、今季登板34試合自責0

楽天対西武 緊急登板する楽天福山(撮影・中島郁夫)

<楽天4-2西武>◇8日◇Koboパーク宮城

 夏! 祭り! サブちゃん! 楽天の「サブちゃん」こと福山博之投手(28)がカオス状態の混戦で好リリーフ、今季の登板34試合目も自責0を続けた。

 先発美馬の足がつり、7回の投球練習を切り上げ降板。どよめきの中「聞いてなかったが、心の準備ができていた」とマウンドへ全力疾走した。西武源田の投ゴロに飛び付き1アウトをもぎ取ると、マウンドから落っこちそうな躍動で投げ込み3者凡退。逃げ切り…と思いきや、Koboパーク宮城最多動員となる2万7387人の発表を合図に、8回の獅子が目覚めた。

 3番手ハーマンが代打山川にボークを犯した直後、同点2ランを食らった。しかし梨田監督が「暗くなる雰囲気はなかった」と明かしたように、福山が運んできた勝利の定型を崩すには至らない。その裏、ミスに乗じて無死満塁とし、アマダーが2点適時打の“代打返し”で競り落とした。

 お立ち台のオン・ステージ。福山は「これから花火大会。楽しんで!」と張り上げ、Koboパーク夏の風物詩を待ちわびる野球好きをあおった。追い付かれて突き放す“アガる”展開は、朝から大盛り上がりの球場にふさわしかった。

 絵の具入りの水をぶっかけランニングし、音楽も楽しむアメリカで人気の「COLOR ME RAD」を10時から実施。若い男女がカラフルな熱を運ぶと、人気ユニット「ベリーグッドマン」「ET-KING」らが球場横ステージに登場した。「ET-」は名曲「愛しい人へ」を披露。ファンはタオルを振り回し、もはや何でもありの元気で試合になだれ込んでいた。

 固定観念ゼロ、エナジーみなぎる楽天で際立つ福山の安定。阪神藤川が打ち立てた、38試合連続無失点と張り合う記録は「全く興味ない」と鼻孔を広げた。カオスの首位争いに欠かせない輝きを放ち、1・5差でソフトバンクにピタリだ。【宮下敬至】

 ▼楽天福山はここまで34試合に投げ自責点ゼロ。5月16日日本ハム戦で失策絡みの1失点があるため無失点記録にはならないが、ちなみにパ・リーグの連続試合無失点は03年豊田(西武)14年比嘉(オリックス)の34試合が最長。無失点記録と比べても安定感が際立つ。福山は打者117人に対し計399球で、1人あたり3・4球は今季30イニング以上の投手で両リーグ最少。テンポよく追い込み、勝負が早い。