ソフトバンク6連勝 柳田好調を支える親友の名実況

日本ハム対ソフトバンク 1回表1死二塁、柳田は先制2点本塁打を放つ(撮影・佐藤翔太)

<日本ハム2-5ソフトバンク>◇8日◇札幌ドーム

 ソフトバンク柳田悠岐外野手(28)が、3試合連続の23号先制2ランを含む3打数2安打で首位打者となり、打撃3部門でリーグトップに立った。前日7日には右膝下に自打球を当て病院に直行したが、そんなアクシデントに負けない3打点の活躍。04年ダイエー松中以来、史上8人目の3冠王も夢ではなくなってきた。チームは日本ハムに快勝し今季初の6連勝。今季最多の貯金26で首位をキープした。

 前日病院に直行したとは思えない、下半身の粘りだった。柳田が初回、いきなりバックスクリーンへ先制2ランをたたき込んだ。「頭になかった球だが、ピタッと止まれてうまく反応できた」。日本ハム井口のカーブにタイミングをズラされかけたが、しっかりフルスイングでとらえた。続く3回の第2打席では中前に適時打を放ち、1人で序盤の3点を稼いで日本ハムを突き放した。

 前日7日の5回、自打球が右膝下を直撃した。そのまま札幌市内の病院へ直行し「右膝蓋(しつがい)骨打撲」と診断された。この日朝もアイシングなど懸命の治療を続けた。まだ痛いかと問われると「試合に出る以上はやるしかない」。言い訳はせず、グラウンドに立ち続けて結果を残した。

 この日の3打数2安打1本塁打で打率3割2分4厘、23本塁打、75打点となり、現時点のパ・リーグ3冠王となった。「(打率は)動く数字。ほかの人のもある。シーズンは長いので」と数字には興味を示さず。好調の秘訣(ひけつ)には「(今は)間が長い」としっかりボールを呼び込めていることを挙げた。

 どんなに結果が出ても「たまたま」。そんな柳田がこの日は本塁打を「宣言」していた。日本ハム戦のCS放送の実況を担当する近藤祐司アナウンサー(43)とはオフのイベントなどを一緒にこなす親しい間柄。近藤アナは日本ハム選手の本塁打が出るとメジャー流に「イッツゴーン(It’s gone=入った)」と叫ぶ。前日7日の柳田の本塁打の際は相手チーム用の「グッバイ(Good bye)」と実況した。映像を見た柳田は「グッバイってなんですか? 今日は打つので(イッツゴーンと)言ってください」とリクエストしていた。宣言通りの1発に近藤アナもこの日は本来、日本ハム用の「イッツゴーン」と叫んだ。この調子なら、今日9日も札幌ドームで「イッツゴーン」が飛び出す可能性は十分だ。【石橋隆雄】

 ▼柳田が打率、本塁打、打点の打撃3部門でリーグトップに立った。最近では昨年の山田(ヤクルト)が7月28日まで同3部門でトップだったが、パの7月以降では3冠王になった04年松中(ダイエー)以来だ。