楽天則本13年日本一以来首位ターンへ首位攻防先陣

練習で談笑する楽天岸(右)と則本(撮影・栗田尚樹)

 エースで首位ターンを決める。楽天は、今日11日から2位ソフトバンクと首位攻防2連戦(ヤフオクドーム)に挑む。第1戦は則本昂大投手(26)が先発し、勝てば田中将大(ヤンキース)を擁した13年以来4年ぶりに前半戦を首位で折り返す。自身も5年連続、両リーグトップの2桁勝利がかかる。第2戦は岸孝之投手(32)が先発予定で、楽天が誇る「Wタカ」が福岡でタカ狩りだ。

 午前9時。Koboパーク宮城の天然芝に、遠慮なく太陽の日差しが降り注ぐ。地面にたまった熱が、足元から襲う。「ビュッ」。乾いた空気を切り裂く音が響いた。則本の直球だった。キャッチボール相手の塩見のグラブが「パシッ」という音を立てる。「ナイスボール」という声にうなずきながら、球界屈指の直球でリズミカルに音色を奏でた。

 1時間ほどの調整を終えると、登板前日恒例の囲み取材が始まった。先陣を切って質問したのはその輪に交じっていた塩見だった。

 塩見 ソフトバンク戦への意気込みは?

 則本 やることは、一緒なので。自分に出来ることをやっていきます。

 外気とは対照的に冷静だった。オールスター前最後の登板は2位ソフトバンクとの首位攻防戦。勝てば日本一となった13年以来の首位ターンが決まる。淡々と話したエースだが、このシチュエーションに燃えないはずがない。塩見が去ると少し間を置き力を込めた。

 則本 こうやって厳しいというか、これだけのプレッシャーの試合を出来ることはありがたい。シーズンの最後まで、やれるようにしたい。この2つはすごい大事だと思う。

 リーグトップ9勝をマークする則本にとって、デビューから5年連続2桁勝利がかかる登板でもある。「僕に勝ちがつかなくてもチームが勝てばそれでいい」と身を粉にするつもりだ。

 チームとしても前半戦最後のヤマ場と踏んでいる。毎週日曜日の登板だった岸を中9日で第2戦に回し、2連勝を本気で取りに行く。梨田監督は常々「則本と岸は特別な存在。2人で30勝くらいとってくれれば」と絶大な信頼を置く。昂大(たかひろ)の後は、孝之(たかゆき)。イヌワシが誇る2枚看板が、満を持して敵地に乗り込んだ。【栗田尚樹】