梨田監督「銀次の打撃は神がかり」逆転で首位ターン

9回表楽天2死一、二塁、銀次は右前に勝ち越し適時打を放つ(撮影・栗木一考)

<ソフトバンク4-5楽天>◇11日◇ヤフオクドーム

 4年ぶりの首位ターンや。首位楽天が2位ソフトバンクに逆転勝利を飾り、前半戦の1位を決めた。同点で迎えた9回に銀次内野手(29)が、決勝の適時打を放った。先発のエース則本昂大投手(26)が、4失点で6回で降板。劣勢の中で、チーム一丸となって最終回に執念を見せた。貯金は今季最多の「25」に伸びた。

 銀次は勢いよく、一塁を駆け抜けた。4-4の9回2死一、二塁。ソフトバンク守護神サファテの151キロ直球を、右前へはじき返した。一、二塁間で挟まれると、小刻みに動きながら視線は本塁に向けた。二塁から生還した島内の「セーフ」を見届け、さらには一塁走者の岡島も本塁へ進ませようとし、タッチアウトを受けた。銀次は「タフな試合になると思っていた。何とか」と壮絶な激闘を制し、大きく息を吐いた。ベンチではナインが大喜びで、ハイタッチを交わした。

 終わりだけでなく、始まりも銀次だった。打線はソフトバンク先発石川の前に3回まで無安打に封じられていた。4回1死走者なしから、銀次が左前打でチーム初安打をマークした。チーム唯一の猛打賞で、打線をけん引した。梨田監督も「銀次の打撃は神がかっている」と選手会長の打撃に脱帽する働きだった。

 チーム一丸でもぎ取った。試合後、梨田監督は「どうなることかと思った」と息を吐いた。エース則本が、まさかの想定外だった。初回に内川に先制の適時打を許すと、2回には9番上林に1発を浴びた。3回にも犠飛で1点を失った。梨田監督が「3イニング連続で失点する則本は見たことがない」と言うほど、自慢の直球で空振りが取れなかった。それでも、辛抱強く投げた。5回には柳田、内川、デスパイネのクリーンアップを3者連続三振。6回6安打4失点の内容で降板すると「調子自体は悪くなかった。打線を信じて我慢強く投げました」と祈るように、戦況を見つめた。

 誰ひとりとして、諦めてはいなかった。4点ビハインドの6回にペゲーロが19号ソロを放つと、7回には相手の失策とウィーラーの適時打で同点に追いついた。エースの頑張りを、無駄にしたくない-。その一心で4点差をはね返した。試合後のベンチ裏では「よっしゃー」と叫ぶ声が響き渡った。日本一を決めた13年以来、4年ぶりに前半戦の首位ターンを決めた。【栗田尚樹】

 ▼楽天が4点差を逆転し、13年以来2度目の前半戦首位を決めた。楽天の4点差以上の逆転勝ちは、4月2日オリックス戦(0-4→5-4=V打ペゲーロ)5月17日日本ハム戦(0-5→15-6=V打銀次)7月9日西武戦(0-4→5-4=V打銀次)に次いで今季4度目。逆転勝ちはリーグ4位の15度目と決して多くない楽天だが、4点差以上の逆転は広島の3度を抜いて両リーグで最も多い。この日のV打は銀次。銀次のV打は今季3度目となったが、5点差逆転の日本ハム戦、4点差逆転の西武戦、4点差逆転のソフトバンク戦と、3度すべて大逆転試合で記録している。