胃がん公表の広島赤松3軍復帰、麻央さんブログ支え

ボールを手に握って軽いランニングで体をほぐす広島赤松(撮影・梅根麻紀)

 「胃がん」を患っていることを公表し、チームを離れていた広島赤松真人外野手(34)が11日、広島・廿日市市の大野練習場でリハビリ組の3軍に復帰した。抗がん剤治療中は先月22日に乳がんで死去した小林麻央さん(享年34)のブログも支えだった。1軍復帰へ、再スタートを切った。

 ゆっくり、ゆっくりと。ジョギングのペースも速くはない。「自分の足じゃないみたい」。測定した筋力の数値も「ひどい。驚愕(きょうがく)した」。だが約1時間半の練習中、赤松はずっと笑っていた。

 「ワクワクです。動けているのが楽しい」。野球など考えられない「ズタボロの状態」から、戻ってきた。

 昨年12月28日に「初期段階の胃がん」を公表。今年1月5日に摘出手術を受けた。その後の抗がん剤治療が、想像を絶する苦しみだった。「本当につらい。3日間ずっと寝込んじゃうとか。足も尋常じゃないくらい細くなる」。支え、励ましとなったのが、同じ病気と闘う人たちだった。

 小林麻央さんが亡くなった先月22日。赤松は寛子夫人と2人で泣いた。まさに抗がん剤治療中だった。

 「病院で見たの。嫁と2人で号泣。ダメだね。泣いちゃうねって。度合いも場所も違うんだけど、分かるのよ。つらさ」。同学年の34歳。面識はないが、ブログを見ては「強い人。つらいのにあの笑顔で」と支えになった。同じがん患者からの数え切れないほどの手紙も届き、読んでは泣いた。「オレなんか楽勝。やらないと失礼」と前を向けた。

 今月7日に最後の抗がん剤治療を終え、この日3軍に合流。もちろん、目標はここではない。

 「1軍の舞台が一番。そこで活躍するのが目標ですから。同じ病気の方に勇気を与えるのが僕の使命」。まずはトレーナーのメニューを軸に、自身の体と相談しながら筋肉量を上げていく。少し痩せたスピードスターは、必ず笑顔でマツダスタジアムに戻ってくる。【池本泰尚】

 ◆赤松真人(あかまつ・まさと)1982年(昭57)9月6日、京都府生まれ。平安(現龍谷大平安)-立命大を経て04年ドラフト6巡目で阪神入団。05、07年ウエスタン・リーグ盗塁王。07年オフ、阪神にFA移籍した新井の人的補償で広島へ移籍した。182センチ、75キロ。右投げ右打ち。