巨人菅野9勝、代名詞ガッツポーズ減少傾向の意味

巨人対ヤクルト 今季9勝目を挙げ、笑顔を見せる巨人菅野(撮影・たえ見朱実)

<巨人2-0ヤクルト>◇11日◇東京ドーム

 力強く逆襲へのターンを決めた。巨人菅野智之投手(27)が、前半戦の最終登板を7回5安打無失点の白星で締めくくった。9勝目(4敗)はハーラー単独トップで、前半戦での9勝は、9勝4敗で折り返した14年以来。中4日で勝利した5日の広島戦に続き、中5日での登板を勝利に導いた。チームに今季初の3カード連続勝ち越しをもたらし、後半戦に向けた反撃ムードをつくり出した。

 7日間で2勝した菅野が、少しだけ責任感をほどいた。「疲れもぶっ飛んでいきました」。お立ち台で、大きな勝利をかみしめた。「勝って終わるのと負けて終わるのは大違い。チームの勝ち越しを決められてよかった」と振り返った。

 攻め抜いた。常に投球間隔を速めて攻撃のリズムをつくることを意識。援護点をもらった5回以降は「守ってはいけない。攻める意識で」と、さらにペースを速めてストライク勝負を続けた。6回、先頭の藤井に左前打を浴び無死一塁。すかさず「分岐点でした」と余力を注ぎ込んだ。山田とバレンティンを連続の空振り三振。難なく脱出した。

 表情を変えずにアウトを重ねる。今季は試合中に限り、代名詞のガッツポーズが減少傾向にある。「今はいい意味で力を抜いて投げられているから、感情的にも自分をコントロールして投げられているんだと思います」と分析。試合の流れを見通しながら投球の強弱をつける余裕が、最適な判断を下す冷静さを生む。もちろん、熱い感情は奥底に秘めてある。「自分やチームを鼓舞する時には、そういうしぐさが必要な時があると思います」と後半戦の勝負どころをにらんだ。

 前半戦での死球ゼロは5年目で初。今季は右打者には外、左打者へは内のスライダーとカットボールを完全に制御している。チームは5位での折り返しも「僕は、まだ巻き返せると信じています」と強調。リーグ戦再開後も、冷静かつ情熱的な投球でチームを引っ張り上げる。【松本岳志】

 ▼菅野がハーラー単独トップの9勝目。今季のヤクルト戦は3戦3勝で、24回を投げてバレンティンのソロ本塁打による1失点だけ。ヤクルト戦は適時安打をまだ許していない。菅野が前半戦で9勝は14年に並び最多となり、ハーラートップで折り返しも14年に次いで2度目。14年は前田(広島)と井納(DeNA)も9勝で、単独トップで前半戦終了ならば初めてだ。菅野は昨年まで前半戦が通算30勝16敗に対し、後半戦は14勝12敗。後半戦は14年から3年連続で3勝止まり。今年は何勝できるか。