阪神藤浪大荒れ7四死球3失点KO、再び登録抹消へ

阪神対広島 初回に失点し汗をぬぐう阪神先発藤浪(撮影・上田博志)

<阪神3-5広島>◇16日◇京セラドーム大阪

 藤浪よ、立ち直ってくれ…。阪神藤浪晋太郎投手(23)が、5月26日DeNA戦以来82日ぶりとなる1軍マウンドに上がったが、5回途中7安打3失点で広島打線にKOされた。2回に大瀬良、4回に菊池と、すっぽ抜けが死球になるなど計7四死球と大荒れ。約2カ月半にわたる2軍調整の成果を発揮できず、自身4敗目(3勝)を喫した。首脳陣は一定の評価を与えたものの、再び出場選手登録を抹消されることが濃厚になった。

 藤浪は歯を食いしばったまま、目線を上げられなかった。3点ビハインドの5回2死二、三塁、8番石原へのカットボールが大きく抜けて四球を与えた。2死満塁とはいえ、次打者は9番大瀬良。投手との対決を目前に降板を告げられ、あまりの情けなさに表情がこわばった。小走りで一塁ベンチへ。降り注ぐ温かい拍手が、切なかった。

 金本監督は試合後、交代のタイミングについて「やっぱり押し出しというのも頭をよぎっただろうし」と説明した。苦渋の決断を下さざるを得ないほどの状況だった、ということだ。4回2/3で107球を要し、7四死球7安打で3失点。信じたくない数字の数々は残念ながら、事実だった。

 開幕から不安定な投球が続き、5月27日に出場選手登録を抹消された。約2カ月半にも及んだ2軍生活を経て、満を持しての復帰マウンド。登板前、指揮官は「今後、彼の人生を左右するといえばオーバーかもしれないけど、僕はそれぐらいの目で見たいと思う」と表現していた。制球難から崩れる「負の連鎖」との決別を証明したかったが、現実は厳しかった。

 1回はバント安打を含む2安打と四球で1死満塁とされ、5番松山に左翼フェンス直撃の先制打を浴びた。松山への初球にはこの日最速159キロを計測。直球の強さが際立ち、制球も大荒れはなし。立ち直りも予感させたが、徐々に投球は暗転していった。

 2回1死、9番大瀬良への直球がすっぽ抜けて左肩付近に直撃。かつて自主トレを共にした先輩に死球を与えた後、制球が乱れ始めた。3回は先頭4番鈴木への四球から連続タイムリーを献上。4回2死では2番菊池に変化球が再びすっぽ抜け、左肩付近への死球で両軍がホームベース付近に入り乱れた。最後まで復調の兆しを見せられず、屈辱の降板で4敗目を喫した。

 試合後、藤浪は厳しい表情のまま愛車に乗り込んだ。普段はどんな乱調後も丁寧に取材対応する男が多くを語らなかった。「チームにも、死球を当ててしまった相手の選手にも申し訳ない投球でした」。広報にコメントを託すしかないほど、憔悴しきっていた。

 金本監督は「ボールはまずまずスピードも出ていましたし、変化球でもカウントを取れていた。あと1人で5回3失点ぐらいで、試合を壊したわけではないし」としたが、再度、出場選手登録を抹消されることが濃厚となった。2連敗を喫し、首位広島とのゲーム差は10・5まで広がった。ダメージは大きいが、下を向いている暇もない。【佐井陽介】