日本ハム大谷2被弾ルーキーの黒星消す同点弾

7回裏日本ハム無死、右越え本塁打を放つ大谷(撮影・黒川智章)

<日本ハム8-7ロッテ>◇17日◇札幌ドーム

 大谷弾がサヨナラ勝ちを呼び込んだ。日本ハム大谷翔平投手(23)が17日、ロッテ18回戦(札幌ドーム)でルーキーを救う同点アーチを放った。6-7で迎えた7回、右翼席中段へ豪快に放り込んだ。直前に、札幌ドーム初登板だったドラフト1位堀が2被弾で逆転を許していたが、ひと振りで試合を振り出しに戻した。チームは延長11回、相手失策で今季4度目のサヨナラ勝ち。3連勝でロッテ戦の勝ち越しを決めた。

 予想外の結末だが、勝利なら何でもいい。7-7の延長11回裏。日本ハムに野球の神様がほほえんだ。1死一、二塁の好機で、ロッテ松永の二塁けん制球が悪送球に。遊撃手の三木のグラブをかすめたことで送球の方向も変わり、中堅手の荻野もカバーできなかった。ボールが中堅フェンスへ向かって転々とする間に、代走岡が歓喜のホームを踏んだ。両軍合わせて7本塁打は札幌ドームで最多タイの乱戦は、思わぬ最高の形で決着した。

 今季4度目のサヨナラ勝ちを呼び込んだのは大谷だ。1点を追う7回先頭、初球だ。打った瞬間に、確信した。打球を見つめながら1歩、2歩と歩き出した。「インコースの難しいところだったんですけど、うまく反応できた」。推定飛距離120メートルの同点5号ソロを右翼席中段へ突き刺した。「飛んだかどうかより(フェアゾーンから)切れなかったことが良かった。いいアプローチができていると思う」。漂っていた不穏な雰囲気を、たった一振りで振り払った。

 チームだけでなく、後輩を救った。「プレッシャーもあったと思う。悔しかったと思うけど勝てたことが良かったし、堀にとっても良かったと思う」と、振り返った。豪快な同点弾が飛び出す直前の7回表。1点リードの場面でドラフト1位堀が、本拠地初マウンドに上がった。3試合目の登板で初のセットアッパー起用も、ソロ本塁打2発を浴び逆転を許していた。失意の高卒新人左腕のプロ初黒星を消し去る1発に栗山監督も「翔平のホームランで(堀の初黒星も)消えた。やっぱり物語がある」と、うなった。

 自らの新人時代には、主砲の1発に助けられたことがある。プロ初登板初先発となった13年5月23日ヤクルト戦(札幌ドーム)。5回6安打2失点でリードを許したまま降板したが、8回に4番中田の同点弾でプロ初黒星は消えた。試合後は「先輩の皆さんに助けてもらってありがたかった」と振り返ったが、今や主力として立場は変わった。

 レンジャーズやパイレーツがネット裏から視察する中で放った、価値ある放物線をきっかけにチームは3連勝だ。今日18日からの3位西武との3連戦へ向けて大谷は言った。「かなり(西武)打線もいいと思うけど、負けないようにしたい」。上位相手にも、勢いそのままに白星を重ねる。【木下大輔】

<日本ハム今季サヨナラ勝ち>

 ◆田中賢の適時打 4月29日楽天戦(札幌ドーム)で、9回2死一、三塁から田中賢が右前適時打。楽天の守護神松井裕から放った一打は自身5年ぶりのサヨナラ打だった。

 ◆大田の適時打 5月3日ロッテ戦(札幌ドーム)の9回無死満塁、大田がロッテ益田から中前に適時打を放った。プロ9年目で新天地に移った新戦力が初のサヨナラ打をマークした。

 ◆松本の適時打 7月20日楽天戦(札幌ドーム)の延長11回1死一、三塁から、今季ブレークした松本が二塁内野安打を放った。6年目でプロ初のサヨナラ打だった。