<巨人4-8阪神>◇26日◇東京ドーム
超人がいれば、奇跡も奇跡じゃないはずや。阪神糸井嘉男外野手(36)が巨人18回戦(東京ドーム)で豪快アーチを放ち、チームの貯金を今季最多の「13」に戻した。2回、2死一、二塁で先制11号3ラン。これでチームは糸井が右脇腹筋挫傷から復帰して以降の9試合で7勝2敗と白星量産。首位広島との7・5ゲーム差は変わらなかったが、コイを追う勢いは衰えない。
オレンジ色の右翼席に白球が吸い込まれた。1番糸井が猛虎打線爆発の号砲を鳴らした。2回だ。2死一、二塁。2球で追い込まれながらも巨人谷岡の3球目、内角低めのスライダーに反応した。窮屈そうに体を縮めながらボールをバットに乗せる。技ありの先制11号3ランで勢いづけた。
「先制のチャンスだったのでとにかくランナーをかえそうと思い振り抜きました。いい結果になってくれて良かったです」
超人の勢いが止まらない。球宴明け直後に右脇腹筋挫傷を負ったが、8月17日広島戦から代打で1軍に復帰。翌18日の中日戦からスタメン復帰すると、そこから8試合連続安打、打率3割8分9厘、3本塁打、7打点。糸井のバットに比例するようにチームも17日からの9試合で7勝2敗と白星を積み上げている。
糸井はティー打撃を大事にする。フリー打撃の前には必ずと言っていいほど数パターンのティー打撃で状態を確認。野手に転向したのは06年の日本ハム時代。その頃は毎日のように何十パターンもあるティー打撃をしていた。スイング、弾道、ターゲットを決めて30メートル先の的を当てる。その練習で一から打撃技術を磨いた。体に染み込んだ技術が対応力を引き上げてきた。だから、この日のように初対戦の投手でも攻略できる。
「勝って良かったです。(有言実行が)できて良かった」
試合後、ベンチ裏から出てきた糸井はそうつぶやいた。前夜の敗戦後に「悔しい。明日絶対取るという気持ち…取ります!」と宣言していた。その思いをバットで表現した。
金本監督は「糸井がいいところで打ってくれた。チーム状態がいい時は2アウトから点が入る。後ろへ後ろへアウトにならず、つなぐ意識をもってくれている」と満足顔だ。7・5差とコイの尾は遠い。だが、Vの夢を諦めるには早すぎる。虎をけん引する超人の背中が、そう言っている。【桝井聡】