中日に東京Dの悪夢再び、G党応援に飲み込まれた

巨人対中日 11回裏巨人1死二、三塁、寺内に3点サヨナラ本塁打を浴びる福谷(撮影・たえ見朱実)

<巨人11-8中日>◇5日◇松本

 初秋の風情に満ちた信州・松本で、東京ドームの悪夢がよみがえった。3点リードの9回。中日田島が1点を失い、さらに2死一塁から、宇佐見の打球は右翼席に吸い込まれた。8-8。守護神はがっくりと肩を落とした。延長11回、福谷が寺内に3ランを打たれ「松本の悲劇」は終幕した。

 6回に2点、7回に5点を挙げる猛攻で逆転。最高の勝ちムードをふいにした田島は「同じチームに何回もやられて情けない。(相性は)気にしていないけど、やられているのは事実」と唇をかんだ。

 今季は東京ドームでの4試合すべて打たれ、逆転サヨナラも2度喫した。今季の巨人戦は11試合で防御率10・61。守護神としては考えられない数字だ。近藤投手コーチは相性の悪さに「本人に聞かないと分からない。それを言ったら使えなくなる」と首をひねった。

 完全アウェーの雰囲気に惑わされたか。松本市野球場はほぼG党で埋め尽くされた。左翼席の竜党の中にもオレンジがちらほら。観客はタオルをぐるぐる回し、巨人の応援を楽しんだ。今夏の甲子園大会で「自粛」のお達しが出たほど、選手の心理に影響があるとされる迫力の応援に、飲み込まれていった。

 森監督は口数少なく、バスに歩いた。試合時間4時間24分は数字以上に長かったはず。午後11時前、チームバスが向かった先は松本市内のホテルではない。6日に試合を行う群馬に3時間近くかけて移動した。霧雨を浴び、肌寒さを感じる松本を去る選手の顔に、疲労感がにじんでいた。【柏原誠】