<広島8-7阪神>◇5日◇マツダスタジアム
またデラックスな仕事をやってのけた。広島松山竜平外野手(31)が1回に11号先制2ランを放つなど、2安打3打点の活躍で勝利に貢献した。4番で4試合連続打点の「マツコ」と呼ばれる大砲に引っ張られるように、チームは3度リードを追いつかれながら、9回には安部友裕内野手(28)の逆転サヨナラ弾で2位阪神に劇的勝利。4連勝でマジック12を再点灯させた。
4番のバットが試合を動かした。1回2死二塁。広島緒方監督が「マツコ」と呼ぶアンパンマンこと松山が、藤浪の初球、139キロスライダーを完璧にとらえた。右翼ポール際の打球は切れることなく、そのままスタンドイン。「積極的にいきました。うまくとらえることが出来ました」と両手に残った感触を笑顔で振り返った。
シーズン11本はプロ10年目で自己最多。内角低めの変化球をすくい上げる得意技で決めた。絶対の自信を持つ低めを拾い上げる技術。「1回、関節を外しているイメージ」と冗談交じりに解説する。上体だけを曲げて手を出すと、重心が上がる。体全体を使ってボールをつかまえるイメージが「関節外し」だ。この日のアンパンチも、フルパワーをバットに伝えていた。
4番として4試合連続打点。1点を追う3回には1死満塁で同点に追いつく遊ゴロを記録した。会心打ではなく、つまらされたが、価値ある追加点となった。7回は打ち損じたような飛球が、左翼ファウルゾーンから風に戻されるようにフェアゾーンに落ちる幸運な安打も。スタートが遅れて単打となり「今日の試合はミスがあってもったいないプレーもあった。僕自身も二塁打にできた。反省しないといけない」と猛省した。鈴木離脱を松山が救ったように、松山のミスは代走野間の盗塁と好走塁で取り返した。「野間に感謝。今度飯でもおごります」。補い合える総合力を前面に、連覇へまた1歩近づいた。
最後は鈴木離脱で5番繰り上げの安部の逆転サヨナラ弾で、マジック12を再点灯させた。緒方監督は「今日の接戦、連戦の頭を勝てたことは大きかった。その中でもしっかりと反省はしていかないと」と劇的勝利にもすぐに表情を引き締めていた。最後までチーム一丸。その歩みは大きく頂点に近づいた。【前原淳】