宮本慎也氏が最弱ヤクルト再建切り札、ヘッド就任へ

11年10月、試合前に談笑する小川淳司監督(左)と宮本

 チーム再建へ、名手がついに帰ってくる。ヤクルトが5日、OBで現役通算2133安打の宮本慎也氏(46=日刊スポーツ評論家)にヘッドコーチ就任を要請したことが分かった。宮本氏は前向きに考えており、受諾の方向だ。この日、球団は来季監督に小川淳司シニアディレクター(SD、60)の再登板を発表。球団最悪の年間96敗を喫した今季から、小川-宮本体制で巻き返しを図る。

 今のヤクルトには、なんとしても必要な人だった。新監督の発表会見から間髪を入れずに、球団は宮本氏に来季の1軍ヘッドコーチ就任を要請した。宮本氏は「今日、要請されました。前向きに考えたいと思います」と話した。13年に引退後、厳しくも愛情たっぷりにチームを見てきた男に、再建が託される。

 宮本氏は長らくヤクルトの中心選手として活躍。守備の名手としてゴールデングラブ賞を遊撃手で6回、三塁手で4回獲得し、01年にはシーズン67犠打の日本記録を樹立するなど献身的なプレーでチームに貢献した。また41歳で現役通算2133安打を達成。妥協を許さず、ベテランになっても練習を重ねて若手の手本となり続けた。

 野球に向かう真摯(しんし)な姿勢で人望が厚く、04年アテネ五輪、08年北京五輪代表ではそれぞれ主将を務め、05年には12球団の選手会会長に就任。球界のキャプテンとして野球界を引っ張ってきた。ヤクルト内でもオフに山田、川端らを引き連れ愛媛・松山で自主トレを実施。「宮本塾」と称され、若手に技術を伝え続けていた。

 ヤクルトは今季球団史上最悪の年間96敗を記録するなど、低迷。7月には47年ぶりの14連敗を喫し、若手、ベテランとともに戦う姿勢を見せられなかった。この日、小川SDの監督復帰が発表され、来季は育成を中心とした立て直しを図ると衣笠剛球団社長兼オーナー代行(68)が明言。現役時代から厳しい練習を積み重ねてきた宮本氏の1軍ヘッドコーチ就任は、チームの大きな起爆剤となる。

 現役最終年には選手兼任コーチとして指導を行っており、若手への助言や育成についての経験もある。選手もファンも待ちわびた復帰が、実現しそうだ。

 ◆宮本慎也(みやもと・しんや)1970年(昭45)11月5日生まれ。大阪府出身。PL学園-同大-プリンスホテルを経て94年ドラフト2位でヤクルト入団。04年アテネ五輪、06年WBC、08年北京五輪で日本代表。ベストナイン1度、ゴールデングラブ賞10度受賞(遊撃手6度、三塁手4度)。プロ19年間で2162試合、7557打数2133安打、62本塁打、578打点、打率2割8分2厘。現役時代は176センチ、82キロ、右投げ右打ち。