巨人の「誠意」V3功労者村田を自由契約にしたワケ

9月27日の中日戦後、ファンの声援に応えながらグラウンドを後にする村田

 巨人が村田修一内野手(36)に対し、来季の契約を結ばず、自由契約にすることを通達したと13日、発表した。11年オフに横浜(現DeNA)からFAで加入。主軸として12年からのリーグ3連覇に貢献するなど活躍したが、世代交代の波に押されて来季の構想から外れた。2000安打まで残り135本と迫り、“男”を代名詞とするスラッガーは新天地でのプレーを模索していくことになる。

 男が巨人を去る。この日、都内ホテルで鹿取GMらと席を持ち、自由契約となることを通達された。「ハッキリ言ってくださって、ありがとうございます」。6シーズンでリーグ3連覇に貢献した主軸は、堂々と受け止めたという。

 世代交代が押し寄せた。昨季は本塁打、打点でチーム2冠も今季は新外国人マギーに定位置の三塁を奪われた。だが勝負強い打撃を示し、夏場からマギーを二塁手で共存させることで持ち場を取り返した。打率2割6分2厘、14本、58打点と堅実な守備。一定の評価もされるが、高橋監督の3年契約最終年を迎える来季へ、若手へかじを切ることになった。

 来季残留が濃厚なマギーは三塁へ戻り、正二塁手には昨年ドラフト1位の吉川尚が期待される。大砲候補の岡本も再び三塁に挑む。鹿取GMは「チームが若返るためにです。戦力になる力は十分にあるし、2000本も彼なら十分に達成できると思うが、多くの先発出場の機会を与えることは難しい」と現状を捉えた。

 自由契約という選択は、球団から功労者、村田への配慮だった。FA権を行使すれば、村田は補償が発生するBランクとみられる。実績や実力を評価されても、高年俸や年齢を理由に他球団から敬遠される可能性が高まる。鹿取GMは「苦渋の決断だけど、自由契約にして選択肢を広げようと。これだけ貢献してくれた選手に対する、せめてもの誠意です」と説明した。

 村田は多くのファンから愛される。輝かしい時ばかりでなく、浮き沈みも激しい。だから多くの人が自らと重ね合わせ、心を揺さぶられる。男は野球人生、分岐点の日をこう語った。

 村田 優勝したいと思って巨人に来て、3回も優勝させてもらって感謝しているし、自分も少しは貢献できたかなと思う。打てない時でもファンの皆様からいつも温かい声援をもらい、いつも満員の球場で野球をさせてもらって、本当にありがたかったです。次のステップに進んでも、村田修一という一選手として、温かく見守ってもらえればうれしいと思います。

 今後は他球団からのオファーを待つ。新天地で男を上げる。【広重竜太郎】

 ◆自由契約選手と他球団の契約について 支配下選手への戦力外通告は、第1次が10月1日からCS開始前日まで、第2次はCS全日程終了翌日から日本シリーズ終了の翌日までになる。自由契約になった村田も他の戦力外選手と同様で、他球団との契約は11月15日の12球団合同トライアウト(マツダスタジアム)終了後から可能になる。

 ◆村田修一(むらた・しゅういち)1980年(昭55)12月28日、福岡県生まれ。東福岡では投手で甲子園出場。日大で野手に転向し、02年ドラフト自由枠で横浜入団。07年から2年連続で本塁打王。11年オフにFAで巨人へ移籍。ベストナイン4度(08、12、13、16年)ゴールデングラブ賞3度(13、14、16年)。08年北京五輪、09年WBC日本代表。今季年俸2億2000万円(推定)。177センチ、92キロ。右投げ右打ち。