広陵・中村奨成も広島と中日競合へ「どこでもOK」

ドラフト会議前日、練習の合間に笑顔を見せる広陵・中村(撮影・宮崎幸一)

 歴史に名を刻むか!? 今日26日のドラフト会議で複数球団の1位指名が予想される広陵・中村奨成捕手(3年)が25日、同校グラウンドで心境を語った。すでに公言している広島に加え、中日の1位指名も浮上。ドラフト1位の1回目の入札で重複となれば、高校生捕手としては史上初となる。注目の超高校級捕手を射止める球団はどっちだ-。

 

 運命の日を翌日に控えても、いつも通り汗を流した。広陵・中村は放課後、フェルトペンで「奨成」と書かれたユニホームを着て変わらぬ日常を過ごした。「ドキドキと不安。半分ずつですね」と18歳の笑顔を見せながらも「12球団どこでもOK。どこに決まっても、そこで頑張るだけ。どこでも来いやという気持ちで待ちます」。今日、夢だったプロ野球への扉が開く-。

 すでに地元広島が1位指名を決めている。中村は「(指名を伝え聞いて)やってやろうという気持ちが強くなった」。さらに中日の1位指名が浮上し、競合する可能性は高くなった。1回目の入札での1位重複となれば、高校生捕手としては史上初となる。

 今春から高校にスカウトが訪れるようになり、プロ入りを強く意識した。夏の甲子園で評価が急騰。1大会の新記録となる6本塁打を放ち、強肩を誇る守備力に、俊足も併せ持つ。スカウトの目の色が変わり、1位指名が現実味を帯びた。だが注目を集めても、浮かれることはなかった。国体終了後もほぼ毎日練習を行い、1日500スイング以上をこなす。体幹を中心に肉体改造に取り組み、一時期減っていた体重をベストの77キロまで戻した。指導者として多くのプロを輩出した中井監督も「肩が強い、フットワークがいい。捕ってから速い。コントロールがいい」と超高校級の守備にお墨付きを与える。

 U18日本代表でともにプレーした早実・清宮や履正社・安田ら、同学年のライバルに、中村は「2人には高校では1歩先に目立たれているので、同じスタートラインに立って、自分が先に目立ってやろうと思っています。やるんだったら同じリーグでやりたい」と意気込んだ。指名は「12球団OK」の中村に、中井監督は「引いたくじが一番いいくじ」と伝えたという。運命の瞬間はもうすぐだ。【前原淳】

 ◆中村奨成(なかむら・しょうせい)1999年(平11)6月6日生まれ、広島県出身。大野東小1年で野球を始め、軟式の大野シニアで県大会8強。広陵では1年春からベンチ入りし、準優勝した今夏甲子園では28打数19安打(打率6割7分9厘)。大会新の6本塁打、17打点、43塁打、猛打賞5度、大会タイの19安打、6二塁打を記録。U18W杯出場。高校通算44本塁打。50メートル走6秒0。遠投120メートル。181センチ、78キロ。右投げ右打ち。家族は母と妹。