秀光中・笹倉&伊藤 左右の2枚看板で悲願の初Vだ

秀光中が誇る左右の両輪。笹倉(左)と伊藤

 仙台育英系列の秀光中教校(宮城)軟式野球部が、24日から開幕する全日本少年春季軟式野球大会(静岡・草薙球場ほか)で悲願の初優勝を狙う。中学生版春のセンバツに例えられる同大会には4年連続5度目の出場。全国大会出場は9年連続となり、新記録を継続中だ。最速144キロ左腕の笹倉世凪と、同140キロ右腕の伊藤樹(ともに3年)の2人が左右の両輪を形成する。24日の大野中(長崎)との1回戦を突破し、3日で5試合の過密日程を乗り越える。【取材・構成=高橋洋平】

 最速140キロを超える左右の両輪は、偶然に生まれた。2人は小学生時代に楽天ジュニアに選ばれており、当時捕手だった伊藤が笹倉の球を受けていた。同じ秀光中に進学してからは伊藤が中1秋に投手転向。1年間で球速を140キロ台に乗せ、昨秋から中学生レベルでは驚異的とも言える2枚看板を形成している。

 笹倉 できれば伊藤とは全国でバッテリーを組みたかった(苦笑い)。組んでいる以上は継投で勝ち上がっていきたい。

 伊藤 楽天ジュニアの時には、投手をやっているなんて考えられなかった。今でも捕手の視点で配球を考えている自分がいる。

 年末の高知遠征ではメジャーのスカウトが視察に訪れるほどの好素材に成長した。笹倉は左上手から最速144キロの直球を投げ込む。スライダー、スプリット、チェンジアップも使用するが、あくまで直球を生かすためのものだ。「将来は左で160キロを出したい」と目を輝かせる。

 元捕手で右上手投げの伊藤はオリックス金子と顔が似ており、多彩な変化球を操る投球術もそっくりだ。最速140キロの直球にカーブ、スライダーなど6種類の変化球が武器。「落ちる変化のスプリットやチェンジアップを見てほしい」と自信を見せる。

 燃える理由もある。今年1月から、秀光中の監督だった須江航氏(34)が仙台育英の監督に就任。後任には同高OBで甲子園出場を経験している小杉勇太氏(23)が監督に就任した。笹倉は前を向く。「自分らは須江先生の最後の教え子になるし、小杉先生の最初の教え子にもなる」。続けて伊藤も「去年は3位に終わって悔しかった。日本一から招待されたい」と意気込み、2人は「優勝して須江先生に恩返ししたい」と声をそろえた。背負うものが違う。左右の両輪で一気に初優勝まで駆け上がる。

 ◆笹倉世凪(ささくら・せな)2003年(平15)5月14日、岩手・一関市生まれ。花泉小2年から野球を始め、小6で楽天ジュニアに選出。秀光中に進学し、1年春からベンチ入り。176センチ、76キロ。左投げ左打ち。家族は両親と兄、姉。

 ◆伊藤樹(いとう・たつき)2003年(平15)8月24日、秋田・大仙市生まれ。仙南東小2年から野球を始め、6年で楽天ジュニアに選出。秀光中に進学後は1年春からベンチ入りし、同秋に捕手から投手に転向。175センチ、75キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄。