大学最後の登板を失意で終えた左腕が、その5カ月後に驚きの快投を見せた。
高橋遥人投手(22=亜大)は昨年10月26日のドラフト会議で阪神からドラフト2位指名された。「ストライクの入らない投手を取って、大丈夫か?」と制球難を懸念する球界関係者もいた。11月4日の東都大学リーグ、東洋大戦で不安は高まる。3点を追う4回2死二、三塁で登板し、ストレートの四球を与え、次打者への初球もボール。ここで降板の指示が下った。これが大学最後のマウンドは、5球連続ボールだった。「全部レベルアップしないと通用しないと思いますし、練習するしかないです」。試合後には、そう話し、悔しさをあらわにした。
そんな高橋遥を先入観なく迎え入れたのが、金本監督だった。1月の新人合同自主トレでブルペンを視察。回転のいい球筋に、一目ぼれ。「スゴイわ。アレ、打てないと思うよ」と絶賛した。春季キャンプは2軍でじっくりと調整させたが、3月にソフトバンクとのオープン戦で起用。「1イニング、3四球までは大丈夫やな。伸び伸びやればいい」と重圧をかけないように、配慮のコメントを出した。昨年の日本一チームを相手に2回無安打無失点で好投し、指揮官の予言が現実のものになった。
金本監督は昨年もドラフト2位の小野泰己のストレートにほれ込み、勝てなくても使い続けた。今季は開幕ローテーション入りし、飛躍が期待されている。高橋遥も期待通りの活躍を見せれば、先発投手陣に厚みが増す。試合後、指揮官は「ナイスピッチング!」と新人左腕に声をかけた。孝行息子のプロ初登板初勝利がチームを単独首位へと押し上げた。