筒香「心の余裕」新打法模索過程の新バットでV弾

ヒーローインタビューで「I LOVE YOKOHAMA」と叫ぶ、右からDeNAバリオス、ロペス、筒香

 頼れる主砲の1発で、DeNAが05年以来、13年ぶりの7連勝を飾った。筒香嘉智外野手(26)が1回、決勝打となる特大の4号先制ソロ本塁打を放った。ここ6試合で4本目となる1発は、本拠地の横浜スタジアムでの今季初アーチとなった。投げては先発バリオスが好投し、無失点リレーで中日打線を封じた。投打がガッチリとかみ合い、単独首位を突っ走る。

 まだ雨が降る前だった。連勝で波に乗るDeNAが、筒香の一振りで初回から勝利を引き寄せた。3球目の甘く入ったカットボールを右中間スタンド上段へ運んだ。ホームで見せた初アーチが4号先制決勝135メートル弾。雨中の中盤戦では4番ロペスが追撃弾を見舞った。無失点リレーで2-0の完璧な展開をもたらした本塁打の感触に、筒香は「いい感じでした」と納得。幕切れは雨上がりに勝敗を決し、盤石の強さで13年ぶりの7連勝を収めた。

 春の珍事でもなければ、まぐれでもない。今季初のクリーンアップ・アベック弾で、力で中日をねじ伏せた。前夜にスモールベースボールで逆転勝利したかと思えば、2発で試合を決める「ビッグボール」で翻弄(ほんろう)。初顔合わせの中日ジーの前に、筒香が「普段からデータは全く気にしない。いつも通り打つことができました」と粉砕した。主砲が先入観に惑わされることはない。

 6戦4発と量産態勢のハイペースは「偶然」が呼び起こした。今季1号を含む2発打った8日広島戦。敵地に持ち込んだバットケースを、たまたま間違えていた。意図せずに握ったバットは、開幕前に試行錯誤し微調整を加えたものではなく、グリップを若干太くする前のバットだった。図らずも結果が出た旧バット。それでも広島から戻った翌日、休みにもかかわらず横浜スタジアムに来ると、新バットをトランクに詰め、東京ドームへ乗り込んだ。

 取り組んでいる、昨年よりも重心を上げた新打法に合ったバットを、模索しながら決めているからだ。「今のバットは決めています。基本的にはシーズン中に形は絶対に変えない」と正真正銘、新バットで打った決勝打。「心の余裕もあるし、いろいろ積み上げてきたことで自信にもなっている。今までのつながりなので」。必然的な本塁打がもたらした7連勝だった。【栗田成芳】

 ◆05年の横浜 牛島和彦監督の就任1年目。9月の7連勝で追い上げ、Aクラス3位に滑り込んだ。エース三浦は7連勝目を広島戦完封で決めるなど、214回2/3を投げ2・52で最優秀防御率のタイトルを獲得。177奪三振でチームメートの門倉と奪三振王のタイトルも分け合った。佐々木がこの年の後で引退。守護神クルーンは26セーブを挙げた。打線は石井が1番でけん引。金城、佐伯、多村のクリーンアップだった。下位打線には村田がおり、控えには内川もいた。

 ▼DeNAが05年9月14~20日以来、13年ぶりの7連勝。DeNA以外の11球団は13年以降に7連勝以上しているのに、DeNAだけが7連勝から10年以上遠ざかっていた。この7連勝はすべてセーブが付き、得点差が1点差2勝、2点差4勝、3点差1勝。DeNAの7連勝以上は23度目だが、4月中に記録したのは大洋時代の78年4月16~23日(7連勝)以来、40年ぶり2度目。すべて3点差以内の接戦で7連勝したのは67年6月24日~7月12日(1分け挟む10連勝)以来、51年ぶり2度目だ。