広島延長10回3点差覆し逆転サヨナラで山賊退治だ

広島対西武 10回裏1死満塁、サヨナラ四球を選びナインと喜び合う鈴木(中央)(撮影・上田博志)

<日本生命セ・パ交流戦:広島8-7西武>◇30日◇マツダスタジアム

 広島が「日本生命セ・パ交流戦」で、西武を延長10回の激闘の末に、逆転サヨナラ勝ちで連敗を3で止めた。延長10回表に3点取られ、その裏に4点を奪い返した。最後は1死満塁から鈴木誠也外野手(23)が押し出し四球を選んだ。延長で3点差を引っ繰りかえすのはプロ野球史上7度目の熱闘だった。延長10回に3点を失ったアドゥワ誠投手(19)が、プロ初勝利をマークした。

 満塁で4番誠也。舞台は整った。この回に登板し、すでに3点を失って、なお1死満塁の危機を背負った西武武隈のボールはストライクゾーンに向かわない。カウント3ボールから、1球ストライクを入れるのがやっと。5球目のチェンジアップは、外角高めに抜けた。サヨナラ押し出し。鈴木は左こぶしを握りしめ、一塁側ベンチに向けた。今季2度目のサヨナラに、ナインからペットボトルのシャワーを浴びせられた。

 驚異的な粘りだ。延長10回に6番手アドゥワが打たれて3点を勝ち越されたが、その裏に猛反撃。アドゥワに今季初黒星どころか、プロ初勝利を刻ませた。

 無死二、三塁から西川が遊撃内野安打で1点返すと、無死一、三塁から堂林の連続適時打で1点差に迫る。田中が犠打を決めれば、菊池は当然の申告敬遠だ。1死満塁から下水流も左前に同点打で続いた。

 お立ち台に立った西川、堂林、下水流の3人とも、つなぐ気持ちを強調した。途中出場の下水流は「誰一人あきらめることなくつないでくれた。絶対に打ってやろうと思った」と笑顔。この日、関西遠征中の2軍から、急きょ1軍に呼ばれた堂林も、途中出場で存在感を示し「何とか結果が出て良かった」。またプロ初4安打の西川は「交流戦は始まったばかり。全員で勝てるように頑張りたい」と誓った。

 負ければ今季2度目の4連敗の危機で、一挙4得点の猛攻を見せた。パの首位、西武が相手。頂上対決にふさわしく激しい応酬だった。雨も降る中の死闘をサヨナラ勝ちで制した緒方監督は「最後まで諦めない気持ちでしっかり戦った。後から出ていった選手も結果を出して、底力を見せてくれた」と手放しにたたえた。

 ▼広島が延長10回裏に4点を挙げて逆転サヨナラ勝ち。延長戦で一気に3点差を逆転したサヨナラ勝ちは07年4月20日阪神以来、11年ぶり7度目。広島が最終回に3点差以上をひっくり返したサヨナラ勝ちは、9回裏に4点を挙げ6-5で勝利した13年4月18日DeNA戦以来だが、延長戦では球団史上初めてだ。一方、西武は01年3月28日オリックス戦でも10回表に3点を挙げながら、その裏に4点を奪われサヨナラ負け。延長戦で3点リードを一気に逆転されたサヨナラ負けを2度も経験したのは西武が初めてになる。