阪神鳥谷を待つ虎党の声が、甲子園に響いた。3点を追いかけた9回1死一塁。投手モレノに代わって、代打鳥谷。15年がかりで続けた歴代2位の連続試合出場が1939で止まった翌日、鳥谷は安打を放った。フルカウントから内角の厳しいコースに来た7球目を捉えて右前へ。プロ通算2026本目の安打で、新たな1歩を踏み出した。

 「(伊藤)隼太が出てくれたので、なんとかつなごうと思っていました。再スタートというあれはないけど、持ち場で頑張ります」。「H」のランプをともしても、顔色一つ変えなかった。だが、ベンチで見届けた金本監督は「練習から違うと思った。きょうはいいなと思った。期待はしていたんだけどね。ああいう打球を打てるんじゃないかと練習で見えたから」と再起の1本を評価した。

 腰椎骨折や鼻骨骨折。どれほどダメージを受けようとも、出場を続けてきた。その歩みが途切れた日、現実を受け止め、起用してくれた歴代監督に感謝。さらに、不振のときも送られるファンの大歓声に感謝した。鳥谷を支える声の熱さは、この夜、より増していた。「(声援が)すごかったですね」。新たな旅立ちの日、揺るぎないファンの支えを鳥谷はかみしめた。【堀まどか】