<プロボクシングWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ>◇20日◇東京・両国国技館
WBC世界ライトフライ級王者の岩田翔吉(30=帝拳)が“鬼門”の初防衛に成功した。同級1位で19戦全勝(8KO)の最強挑戦者エリク・バディージョ(30=メキシコ)に11回2分13秒、TKO勝ちした。
4回に相手の左を食らってダウンする場面もあったが、「人生初ダウンで、ちょっと、本当にやべえなと思ったが全然ダメージはなかった」とその後は終始優勢に試合を進めた。
「王座奪取と初防衛戦はセット」。そう心に決めて2度目のV1戦に臨んだ。今年3月にCPフレッシュマート(タイ)を8回TKOで圧勝して約1年ぶりに王座に返り咲いたが、わずか1週間後には練習を再開。一息つくことなく、再び心身にむちを入れた。
1年前の苦い経験がある。24年10月にノリエガ(スペイン)に3回TKO勝利でWBO世界ライトフライ級王座を獲得したが、翌年3月の初防衛戦でサンティアゴ(プエルトリコ)に判定で敗れて王座を手放した。「だから今回は気持ちを切らすことなく、発表前から対戦相手の映像を見て対策をしてきた」。
引き出しも増やした。前回は足を使うサンティアゴの技巧と防御技術に打ち気が空回りして自慢の強打は空砲に終わった。その教訓を生かして足を駆使した出入りに磨きをかけた。バディージョも同じ技巧派サウスポーだが「相手が足を使っても、出てきても対処できるようにした」と自信を持ってリングに上がった。
20年に結婚。5歳になる長男羚(れい)くんは、父親がプロボクサーであることを理解できるようになった。「僕はボクサーと言っていないのに幼稚園の先生たちとかも応援に来てくれている」。24年7月のトリニダード(フィリピン)戦から会場に応援に駆けつける愛息は何よりの心の支えになった。
初防衛成功で統一戦や2階級制覇の野望が実現へ動きだす。「2人戦いたい相手がいる。その中に別の階級のチャンピオンもいる。名前は勝ってから言いたい」。鬼門をクリアした岩田が、いよいよ円熟のボクシング人生を迎える。【首藤正徳】
◆ラウンドVTR◆
1回 リング中央で構えたバディージョが、前へ出ながらサウスポーのプレッシャーをかける立ち上がり。岩田も右から攻撃を組み立てる。残り1分弱にはカウンターの右を相手の顔面にヒット。終盤はフットワークも使いながら距離を取った。日刊採点は岩田の10-9。
2回 岩田は冷静に右ジャブを突き、右ボディーストレートで攻め立てる。上下への打ち分けと軽快なフットワークが光り、中盤には右ボディーをヒット。足を使いながら効果的に攻撃を重ね、このラウンドはボディーブローが際立った。終了のゴングと同時に笑みを浮かべた。日刊採点は岩田の10-9。
3回 岩田がリズム良く攻撃を組み立て、自分のタイミングでパンチを繰り出す。キャリア全勝の挑戦者バディージョも距離を詰めて打ち合いに持ち込むが、岩田は右を上下に打ち分けて応戦。終盤には左ボディーに加え、右のクリーンヒットも決めた。日刊採点は岩田の10-9。
4回 岩田はフットワークを使いながら、自分のペースで試合を進める。バディージョはプレッシャーを強め、距離を取る岩田を駆け足で追いかける場面も。右ジャブを伸ばして攻勢に出ると、後半には左ストレートを岩田のあごに決め、ダウンを奪った。日刊採点は岩田の8-10。
5回 岩田は華麗なワンツースリーを再三繰り出し、試合巧者の挑戦者を相手に無理な攻めは見せない。バディージョは距離を詰め、左アッパーや右ジャブをヒット。攻勢を強めると、後半にはワンツーも決めて岩田の被弾が増える。それでも終了間際、岩田が右ストレートを顔面に打ち込んだ。日刊採点は岩田の9-10。
6回 岩田が右ボディーをさく裂させ、苦しくなったバディージョをロープ際へ追い詰める。的確にボディーを打ち込み、互いに笑みを見せる場面も。岩田は両手を挙げて相手をあおると、その後もボディーを効果的にヒット。バディージョは苦しそうな表情を見せて運動量が落ち、岩田はゴングまで執ようにボディーを狙い続けた。日刊採点は岩田の10-9。
7回 岩田はアッパー、ボディーを的確に打ち込み、フットワークを使いながら試合を組み立てる。中盤には距離が詰まり、互いに打ち合う場面も。岩田は左を顔面にヒットさせる。一方のバディージョもガードを高く掲げて前へ出て、リズム良くボディーを返す。スタミナ勝負の様相を呈してきた。日刊採点は岩田の10-9。
8回、岩田がボディーを狙う一方、バディージョもうまくいなしながら応戦する。岩田のボディー、バディージョのアッパーがそれぞれヒット。抜け出したい岩田は連打でロープ際へ追い込み、パンチをまとめる。ボディーを何度も打ち込まれたバディージョは苦しそうな表情を見せて動きに切れを欠き、残り10秒もロープ際で岩田の連打を浴びた。日刊採点は岩田の10-9。
9回 ダメージが蓄積するバディージョを相手に、岩田はフットワークを使いながら一撃を狙う。ジャブから丁寧に試合を組み立て、バディージョを後退させる。ボディーを意識させると右ストレートをクリーンヒット。終盤にも強烈な右ボディーを打ち込み、主導権を渡さなかった。日刊採点は岩田の10-9。
10回 岩田が開始直後から攻勢に出て、ワンツースリーでバディージョをロープ際へ追い込む。左右のフックをクリーンヒットさせ、中盤には右フックもさく裂。バディージョは防戦一方となり、動きと手数が落ちながらも倒れないタフさを見せる。それでも岩田は冷静に右の打ち下ろしを決めた。日刊採点は岩田の10-9。
11回 ロープ際で岩田がボディー、ストレートをあごに打ち込み、バディージョを大きく後退させる。それでも挑戦者は倒れず、再び前へ出る。岩田はフェイントを織り交ぜながらパンチをまとめ、右ストレートを顔面にヒット。追撃してロープ際へ追い詰めると、右ストレートからボディーをたたき込んだところで、レフェリーが試合を止めた。