<プロボクシング:WBO世界スーパーフライ級王座決定12回戦>◇20日◇東京・両国国技館
前WBA、WBC世界フライ級統一王者でWBO世界スーパーフライ級3位の寺地拳四朗(34=BMB)が、日本人8人目となる快挙を達成した。
同級4位のイスラエル・ゴンサレス(29=メキシコ)と対戦し、3-0(115-111、116-110、117-109)の判定勝ち。WBA、WBC世界ライトフライ級王座、WBA、WBC世界フライ級王座に続く王座獲得で、世界3階級制覇に成功した。
判定を聞くと、感極まった。再び世界王座に返り咲いた寺地は、「最後(のダウン)はトレーナーが『いけ』と。練習していたフックからのワンツー、それがきれいに入って、その印象がすごく気持ちよかった。やってるやつがはまると、やっぱお父さんすご、と思いました」と父である寺地永会長へ感謝。「1年ぶりぐらいのベルト、ほんとにめちゃめちゃうれしかった。泣きそうで頑張ってこらえたけどちょっとでちゃったんで」と、照れ笑いを浮かべた。
スーパーフライ級初戦は「ジャブを意識した」といい「相手に距離をつかませない、距離をつかませない原点に戻った」と胸を張った。そして「3階級で2団体統一した人はいない」と自ら切り出すと「僕が日本初の3階級2団体チャンピオンになってみせる。今後とも楽しみにしておいて」と堂々と予告した。
25年7月にリカルド・サンドバル(米国)に判定負けし、フライ級統一王座から陥落。昨年12月にはサウジアラビア・リヤド興業で当時のIBF世界同級王者ウィリバリド・ガルシア(メキシコ)に挑戦するはずだったが、前日計量後に王者が体調を崩したとして試合中止になった。まさかの展開に涙が止まらなかったが、約7カ月後に訪れた再起の場で悔しさを喜びに変えた。
さまざまな経験を経て、力強さを増して返り咲いた王座となった。サウジアラビアでは思わぬ事態で大粒の涙を流したが、その後は常にポジティブに取り組んできた。ともに歩んできた加藤健太トレーナーは「全てをプラスに変えるメンタルがある。ああいうこと(試合中止)があったけれど、今を頑張ればいい方に転がるよっていうメンタルになっている」とその変化を実感。結果的に試合期間が約1年空くことになり、その間に筋肉量を増やし、パワーアップした。「流れた試合は本当にすごい悔しかったが、いい経験だった。それを糧によりパワーを発揮できればいい」。そう言えるまでの状態を整えた。前日計量後にはサウジアラビアでの悪夢もよぎったものの「2回連続となったら生きていけるかな…」と笑顔を見せられたのも、メンタル面の余裕を感じさせるものだった。
「2回連続では負けられない」と覚悟を持って臨んだ試合で、見事に3階級制覇。34歳の挑戦は日本人初の3階級統一王者に続く。
◆ラウンドVTR◆
1回 互いにジャブの差し合いの展開。その中で手数は寺地の方が上回った。後半にゴンサレスの左ジャブも決まる。リーチ差は寺地が11センチ下回るため、鋭い出入りで対抗した。日刊採点は寺地の10-9。
2回 ゴンサレスが開始から積極的に左右のパンチを繰り出す。寺地は左ジャブを的確に決めた。残り1分、寺地が右のカウンターパンチを顔面に決めて、ダウンを奪った。日刊採点は寺地の10―8。
3回 開始50秒あたりで、寺地が強烈な右ボディーブローをたたき込む。ゴンサレスはぐらついた。その後も上下をうまく打ち分けるなど攻勢。ゴンサレスは寺地のプレッシャーを受け、前に出られず下がる場面が多い。日刊採点は寺地の10-9。
4回 寺地の右ボディーがローブローで中断する場面があったが、その後は的確に右ストレート、左フックなどを顔面に決めた。ゴンサレスは防戦一方。左ジャブを出すことが精一杯。日刊採点は寺地の10-9。
5回 ゴンサレスが戦術を変更。果敢に前に出て接近戦を挑む。手数も増えた。寺地は焦らず、パンチを上下に散らし、的を絞らせない。ただゴンサレスのパンチも当たり始めてきた。日刊採点はゴンサレスの10-9。
6回 前回同様、ゴンサレスは前に出て手数も多い。それでも寺地は鋭い出入りから右ストレートを的確に顔面にたたき込んだ。ゴンサレスは寺地の右ストレートを封じられていない。日刊採点は寺地の10-9。
7回 ゴンサレスが積極的に前に出てパンチを出す。寺地は中盤に右ストレートを顔面に決めるが、すぐに右ストレートを打ち返された。ゴンサレスのリズムが戻ってきた印象。日刊採点はゴンサレスの10-9。
8回 ゴンサレスが長いリーチをいかして右ストレートなどを決めた。寺地は得意の左ジャブで距離をはかりながら、終盤に右ストレートを顔面に決めた。 日刊採点はゴンサレスの10-9。
9回 ゴンサレスは変わらず手数多い。中盤には右ストレートを決めてロープ際に追い込む。寺地も中盤に右から返しのアッパー、右ストレートを立て続けに決めた。日刊採点は寺地の10-9。
10回 手数の多いゴンサレスに対して、寺地は得意の左ジャブで自分の間合いをとる。終盤に寺地は右ストレートを顔面にたたき込むと、ゴンサレスの腰が下がった。ゴンサレスはロープを背負い、手数も減った。日刊採点は寺地の10-9。
11回 序盤から打ち合いの展開も、寺地の左ジャブ、右ストレートの有効打が上回った。ゴンサレスも引かずに前に出続けた。日刊採点は寺地の10-9。
12回 序盤から打ち合いの展開。寺地は強烈な右ストレートを的確に決めた。終盤、その右ストレートをゴンサレスのあごに決め、この日2度目のダウンを奪った。日刊採点は寺地の10-8。
3―0の判定勝利で、3階級制覇を達成した。