油断大敵!たけしが井上尚弥、八重樫東とチャンプ論

世界戦発表会見でファイティングポーズをとる左から八重樫東、井上尚弥(撮影・山崎哲司)

 2人の世界王者に「世界のキタノ」から太鼓判だ! フジテレビ系「ボクシングフェス2017 SUPER2DAYS」(20、21日、午後7時)で応援団長に就任したタレントのビートたけし(70)が、21日に有明コロシアムでV5戦が待つWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24)、V3戦となるIBF世界ライトフライ級王者八重樫東(34=ともに大橋)と対談。芸能界一の拳闘ファンの視点からその戦いぶりを絶賛し、「油断大敵」の心得を説いた。

 花が咲いたボクシング談議、たけしの口から次々と出てくる数々の歴代世界王者の名前に、2人の現役王者も感嘆しきりだった。「ボクシング好きな芸人多いけど、誰が何と言おうとオレが一番古い!」。高校時代にヨネクラジム練習生、96年の監督作「キッズ・リターン」ではボクシングを題材にした。もちろん、井上、八重樫の試合もチェックしてきた。

 井上とは昨年テレビ番組で共演。人を乗せたマイクロバスを坂道で1人で押すパワーに驚いた。

 たけし アリみたい。自分の体重の何倍も押して。芯が太い。パンチはすげえだろうなと。強すぎてね、判定勝ちでもつまらない。1回KOでもつまらない。困ったもんだね。

 井上 1回で倒したら文句言われて(笑い)。5、6回に「そろそろ倒すんだろ」という空気感じます。

 たけし 翌日の新聞を考えてるんじゃないの。「倒されて倒して逆転KOの方が盛り上がるかな」とか。

 「激闘王」八重樫に対しては、「試合は面白いやね。すげえ打ち合いやるね」。その代償の試合後の腫れ上がった顔が有名だが…。

 たけし 今日見たら治ってないのかと。もともとこうだったんだなあ。

 八重樫 そうなんです(笑い)。僕は井上のような余裕はないので…。

 たけし 今度の相手(メリンド)は精神的に弱そう。早めに押し込めば諦めるんじゃないかな。

 八重樫 下がらせ、ぐちゃぐちゃにしてやります。

 映画では「リアル」を追求してきた。ハリウッド映画を挙げ「ヘビー級の打ち合いなんかあり得ない」。1発当たれば倒れる。監督としてこだわってきた。

 たけし 相手は血だらけで倒れていて、片っぽは手を挙げている。そういう瞬間が1歩間違えば待っているのを前提に打ち合いしてる。昔の武士道みたいに一発間違えばたたき殺される真剣勝負だからね。

 その言葉に2人の王者も応じた。

 八重樫 試合は斬り合いの場で、やる覚悟も、やられる覚悟も作って上がらないととは常々思ってます。

 井上 自分もそういうヒリヒリ感、ピリついたリングは常に何があるか分からない場所なので、緊張感を持ってやっています。

 たけし オレも漫才では絶対になめなかったよね、いくら軽い客でも。笑うって分かっていても。井上選手も格下で勝てると思っても、緩んでないと思うよ。1発入ったら取り返しがつかないからね。

 「油断大敵」。その言葉に井上は、「甘く見たことはないです」。八重樫は「僕はいつもいっぱいいっぱいですから」。2人の王者には、その心配は無用だった。