【大橋秀行】井岡一翔「左殺し」を存分に披露、アンカハス戦も楽しみ

2回、福永(右)に左ボディーブローを見舞う井岡(代表撮影)

<プロボクシング:WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇12月31日◇東京・大田区総合体育館

WBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(32=志成)が4度目の防衛に成功した。同級6位福永亮次(35=角海老宝石)に3-0判定勝ち。区切りとなる10度目大みそか決戦を勝利で飾った。

12月3日に中止が発表されたIBF世界同級王者ジェルウィン・アンカハス(29=フィリピン)との王座統一戦の再セットに向けて、大きく前進した。

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【大橋秀行評論】

当初対戦予定だったIBF王者アンカハスと同じサウスポーの福永に対し、井岡は「左殺し」の技術を存分にみせた。ノーモーションの右の後に右フックを打ち、サウスポー攻略には重要な左ボディー打ちも効果的に出した。同じボディーを打つ角度から左フック、左アッパーを繰り出した。サウスポーが得意というような動き。アンカハスとの統一戦が実現すれば、本当に楽しみだ。

あえて課題を言うなら10~12回の戦い方だろう。仕留める好機もあったが、少し受け身だった。井岡は強引にKOを狙うタイプではないが、欲を言うならKOも欲しかったところだ。

対する福永は1回に思い切った攻撃が欲しかった。1回は様子を見る井岡のスタイルを知っていただろうし、畳み掛ける強引な攻撃が欲しかった。ただタフさ、相打ち気味にボディーアッパーを打った技術は光っていた。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者)