大相撲春場所は今日13日、エディオンアリーナ大阪で初日を迎える。98年名古屋場所の3代目若乃花以来の日本人横綱に挑む大関琴奨菊(32=佐渡ケ嶽)が、悔いのない調整をしてきたことを強調した。初日に高安、2日目に嘉風と実力者の挑戦を受ける出だし。平成以降、横綱昇進力士は全員、最初の2日間を白星で乗り切っている。一方で八角理事長(元横綱北勝海)は今後を見据えて「中日まで全勝」指令を出した。
初日を前にして、琴奨菊の行動は1つも変わらなかった。前日恒例の土俵祭りを終えた後、陰でそっとお神酒を口にする。極度の下戸にもかかわらず。「清めのお酒だからね。15日間の無事を祈って」。これまで続けてきた習慣を、変わらずにこなした。「いつもと一緒。一緒にすることが大事」。大事な場所を前に、そう自分に言い聞かせた。
11日午後、神戸市の保久良山(標高185メートル)を登った。息を切らし、何度か休憩しながら登頂した。瀬戸内海を見渡し、気持ちよさを味わって最後の“練習”を終えた。右かかとを痛めるなど、相撲の稽古は少なめ。だが、それを補うトレーニングに時間を割いてきた。やり残したことはないかと問われると「何かある?」と逆質問。「大丈夫!」と力強く答えた。慌ただしさを乗り越えて、いよいよ綱とりが始まる。
旭富士からの平成以降に横綱に昇進した力士はいずれも初日、2日を白星で乗り切っている。連勝発進が最低条件。高安、嘉風と実力者の挑戦を受ける琴奨菊も「序盤をしっかり乗り切ること」とかみしめる。
ただ、八角理事長(元横綱北勝海)は「乗り切ればじゃなく、それが普通じゃないと、上がった後が大変になる」と言う。そして「中日まで全勝が必要かな」と昇進後を見据えた上で、ハッパを掛けた。
15日間の前売り券は既に完売。地元の豪栄道を抑えて大関陣では最多13本の懸賞も懸かった。18年ぶりの和製横綱誕生へ、高まる期待。「自信を持って土俵に上がる。その結果でしかない」。これまでと変わらぬ言葉で、覚悟を明かした。【今村健人】